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工場の配置転換で、どこに行くかも何をするかも分からない——その範囲だけは、もう紙か就業規則に書いてあります

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。

先に、答えのほうから書きます。

この記事の結論


どこまで動かされうるか。その範囲は、入社のときにもらった紙か、就業規則のどちらかに書いてあります。
目次
  1. どこまで動かされうるかは、入社のときの紙か、就業規則に書いてあります
  2. 「配置転換を命じてよい」と書いた条文は、労働基準法にも労働契約法にもありません
  3. 紙のほうには、「変更の範囲」という欄があります
  4. 見る場所は2つあります。どちらでも、あなたは見られます
  5. ① 入社のときにもらった紙を見る
  6. ② 就業規則を見る
  7. 書いてある範囲と、いま言われている行き先を、見比べる
  8. それでも、「なぜ自分なのか」だけは分かりません。私にも分かりません
  9. 手取りは、休業手当の話になる前に、もう減っていることがあります
  10. 移った先で怖いのは、人間関係より先に、置き場所と手順が全部変わることのほうです
  11. 今日は、何もしなくていいです。それでも5分で終わるものが、1つだけあります
    1. 段0 今日は、何もしない
    2. 最小(まずは、これだけで十分です)
    3. 欄があった人は——書いてある範囲を読んで、いま言われている行き先と見比べる
    4. 欄が無かった人は——次に見るのは就業規則です
    5. 手取りのほうは——給与明細を、先月と見比べておく
    6. 移る前に(該当する人だけ)——騒音の持ち場から移るなら、聴力を測っておく
  12. これからのことを考えるなら、方向は3つあります
    1. ① この工場で、そのまま働き続けたい
    2. ② 移った先で、やっていく
    3. ③ 外に、どんな募集があるのかを見ておく
  13. 決まっていないことと、まだ読んでいないことは、別のことです

どこまで動かされうるかは、入社のときの紙か、就業規則に書いてあります

どこへ行くのか。何の作業になるのか。いつからなのか。——そこは、たぶん誰も言ってくれていないと思います。

そして、それは今日も、そのままだと思います。

ただ、「自分がどこまで動かされうるのか」という範囲のほうは、もうどこかに文字になっています。会社がこれから決めることではなくて、契約を結んだ時点で決まっている側の話だからです。

私のことも先に書いておきます。

自分がやっていた工程が減る、と言われたことがあります。そのとき最初に浮かんだのは、自分のことじゃなくて「工場の景気、悪いのかな」でした。

そのあと、残業が止まりました。基本的にしないように、する場合は上司の承認が必要だと言われました。

それで、何をしたか。——何もしませんでした。何をしていいか分からなかったし、自分ひとりがジタバタしたところで状況が変わるはずない、と思っていたからです。

紙は持っていました。2024年より後にもらったので、「変更の範囲」という欄もありました。でも、そこに何が書いてあるかは、知りませんでした。

そのうえで、一度だけ言い切っておきます。

この記事を読んでも、状況は変わりません。 工程が戻るわけでも、異動が止まるわけでもありません。

そして、辞める話でもありません。

先に書いておくと、この記事に「まずは調べてみましょう」は出てきません。たぶん、もう調べてここに来ていると思うので。

もう1つだけ、範囲の話をします。工場そのものが閉まる、退職金や失業給付がどうなる——という段階の話は、この記事では扱えていません。 そちらは、あとで出てくる「総合労働相談コーナー」で聞くほうが確かだと思います。

ここから先は、「移されるかもしれない」と言われた側が、自分の手だけで見られるものの話です。

「配置転換を命じてよい」と書いた条文は、労働基準法にも労働契約法にもありません

条文を探しても、出てきません。

配置転換そのものを「命じることができる」と定めた条文は、労働基準法にも労働契約法にもありません。

大阪労働局のよくある質問には、こう書かれています。

労働基準法には規定がありませんので民事上の問題になります

大阪労働局「よくあるご質問(配置転換等)」|厚生労働省 大阪労働局

(※転勤についての回答の一部です)

では何が根拠になっているかというと、労働契約——つまりあなたの紙と、就業規則のほうです。そこに書かれた中身が、そのまま効いてくる構造になっています。

歯止めにあたるのが労働契約法の3条5項ですが、この条文は「労働者及び使用者は」という書き出しで始まります。会社だけを縛る条文ではありません。そこは正直に書いておきます。

つまり、こういうことになります。


法律の条文を探しても出てこないので、あなたが最初に見る場所は、法律ではなく、あなたの紙のほうになります。

紙のほうには、「変更の範囲」という欄があります

厚生労働省のリーフレットの裏面に、小さい字でこう書かれています。

「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲を指します。

リーフレット「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」(2024年9月)|厚生労働省

これは私が考えた説明ではありません。厚生労働省の言葉です。

読み直すと、書いてあることはかなり具体的です。「将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲」。——どこへ行くのか、何の作業になるのか。いま知りたいことの、ほぼそのままです。

2026年4月に、工場で働いている47歳の方が、質問サイトにこう書いていました。

「どこの県への異動・どんな仕事をするかまったくわかりません」

この人が知りたがっているものと、厚生労働省が「変更の範囲」と呼んでいるものは、中身が同じです。言葉が違うだけで、同じものを指しています。

国が配っている労働条件通知書の様式(モデル様式)を開くと、こう並んでいます。

就業の場所(雇入れ直後)(変更の範囲)
従事すべき業務の内容(雇入れ直後)(変更の範囲)

探すのは「変更の範囲」という5文字で、場所は2か所。 「就業の場所」と「従事すべき業務の内容」です。

※これは厚生労働省のモデル様式です。会社が独自の様式を使っていることもあるので、この形で並んでいるとは限りません。

そして、ここが私の書きにくいところです。

私の紙にも、その欄はあります。2024年より後にもらったので。——でも、そこに何が書いてあるかは、知りませんでした。

持っていないのでも、見られない立場なのでもありませんでした。持っているのに、読んでいなかった。 それだけです。

見る場所は2つあります。どちらでも、あなたは見られます

入社のときの紙か、就業規則か。どちらを見ることになるかは、あなたの契約がいつのものかで決まります。

そして、どちらであっても、あなたは見られます。 行き止まりになる側はありません。

契約を更新しながら働いている人は、更新のときが新しい契約の締結にあたるので、そちらで見ることになります。

順番に見ていきます。

① 入社のときにもらった紙を見る

労働基準法の施行規則(5条1項1号の三)に、会社が明示することになっている項目が並んでいます。そのうちの1つが、これです。

就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む。)

労働基準法施行規則 第5条第1項第1号の三(e-Gov法令検索)

カッコの中に「変更の範囲を含む」と書いてあります。これが、さっきの欄の正体です。

同じ施行規則の5条4項では、明示の方法は原則として書面の交付とされています。つまり、紙はあなたに渡っていることになっています。

そして、この欄が加わったのは2024年4月1日からです。正確には、令和6年4月1日以降に締結される労働契約について、新しい明示のルールが適用されます。

やることは、これだけです。


紙を探して、「就業の場所」「従事すべき業務」の欄に、「変更の範囲」という言葉があるかどうかを見る。
読むのは、そのあとで大丈夫です。まずは、あるか無いかだけ。

歯止めを2つ入れておきます。

ここは正直に書きます


1つ目。この欄は「会社が何を明示しなければならないか」の話です。 「ここに書いていない場所や業務には異動させられない」という話ではありません。明示の義務と、配置転換を命じられるかどうかは、別の話です。 そこは、この記事のほうも判定できません。

2つ目。その紙が手元に無くても、あなたの落ち度ではありません。 交付することになっているのは会社の側です。見つからなかったら、そのまま次へ行ってください。

② 就業規則を見る

紙を開いて、その欄が無かった人がいると思います。

それは、あなたが失くしたからでも、会社が隠しているからでもありません。理由は厚生労働省がはっきり書いていて、次に見る場所も決まっています。

厚生労働省のQ&Aに、そのまま書かれています。

既に雇用されている労働者に対して、改めて労働条件を明示する必要はない。

新たな明示ルールは、今般の省令・告示改正の施行日である令和6年4月1日以降に締結される労働契約について適用される。

令和5年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A|厚生労働省

つまり、2024年3月以前から同じ会社に勤め続けている人の紙には、そもそもこの欄が無いことがあります。「会社が書いてくれなかった」のではなくて、「書き足す必要がないことになっている」ほうです。

その場合に見るのが、就業規則です。

就業規則については、労働基準法106条と、その施行規則52条の2に、周知の方法が書かれています。

一 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
二 書面を労働者に交付すること。
三 使用者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル…に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

労働基準法施行規則 第52条の2(e-Gov法令検索)

掲示か、備え付けか、書面か、社内の電子データか。方法は1つに決まっていません。 そのうちのどれかで、あなたの職場にも置かれていることになっています。

さらに、厚生労働省のQ&Aには、通達でこう明らかにされたと書かれています。

就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等により就業規則を労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要があること

令和5年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A|厚生労働省

「必要なときに」です。あなたが見たいと思ったときに見られる状態にしておく、という書かれ方になっています。

私の職場のことも書いておきます。

私の職場では、社内の共有ファイルから見られます。 掲示されている職場も、紙で置いてある職場もあります。どこの職場でも共有ファイルにある、とは書けません。 方法が複数認められている以上、置き場所は職場ごとに違います。

だから、始め方はこうなります。


「見せてください」ではなく、「どこにあるんだろう」から始める。

もう1つ、手がかりがあります。さっきのモデル様式には、「詳細は、就業規則第◯条〜」という欄が何度も出てきます。紙と就業規則は、様式の上でもともと地続きです。 紙のほうに就業規則の条番号が書いてあれば、そこがそのまま入口になります。

そして、同じ様式の終わりのほうには、こういう欄そのものがあります。

就業規則を確認できる場所や方法(       )

労働条件通知書(一般労働者用;常用、有期雇用型)モデル様式|厚生労働省

「どこで見られるか」を書く欄が、紙のほうに用意されているということです。厚生労働省のQ&Aによれば、この欄が足されたのは施行規則の改正によるものではなく、さきほどの通達の改正に対応したものだ、と書かれています。

ただし、これはあくまで国が配っているモデルの様式です。会社が独自の様式を使っていて、この欄が無いこともあります。 無かったとしても、それで何かが決まるわけではありません。

なお、見つからないことや、すぐに出てこないことを、この記事が判定することはしません。 ここで書けるのは、「そういう状態にする必要があることが明らかにされています」までです。

書いてある範囲と、いま言われている行き先を、見比べる

欄が見つかった人も、就業規則にたどり着いた人も、次にやることは同じです。

紙や就業規則に書いてある範囲と、いま言われている行き先を、見比べてみてください。

見比べるだけです。それ以上のことは、この記事ではやりません。

理由を書きます。厚生労働省の「確かめよう労働条件」というサイトに、配置転換の裁判例のまとめがあります。そこには、方向の違う2つの記述が並んでいます。

就業規則に、業務上の都合により転勤や配置転換を命じることができる旨が定められており、実際にこれに基づき転勤が頻繁に行われ、雇用契約で勤務地や職種が限定されていない場合には、企業は個々の労働者の同意なしに転勤や配置転換を命じることできます

確かめよう労働条件「配置転換|裁判例」|厚生労働省

※引用の末尾は、原文のままです。

職種限定合意のある職種が廃止される場合に解雇を回避するためだとしても、企業は労働者の個別的同意なしに合意に反する他職種への配置転換を命ずることはできません

確かめよう労働条件「配置転換|裁判例」|厚生労働省

結論が逆を向いています。そして、2つを分けている要素の1つが、「紙と就業規則に何が書いてあるか」です。

ここで正直に書いておきます。

ここは正直に書きます


2つ目は「職種限定合意」——この職種でしか働かせません、と契約で決まっている場合の話です。 自分の契約がそうなっているかどうかも、結局は紙と就業規則を見ないと分かりません。だから、2つ目の記述だけを読んで「自分は移されない側だ」と受け取るのは、たぶん早いです。

同じページには、業務上の必要性がない場合、不当な動機・目的が認められる場合、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合、といった判断の要素も挙げられています。ただ、それを自分の場合に当てはめるところまでは、この記事ではやりません。

もう1つだけ、条文を置いておきます。施行規則の5条2項です。

使用者は、法第十五条第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならない。

労働基準法施行規則 第5条第2項(e-Gov法令検索)

紙に書いたことと、実際とを食い違わせてはいけない、という決まりです。だから、見比べること自体は、あなたが勝手にやっていることではありません。

そのうえで。

断れるかどうかは、この記事では答えが出せません。 最後は裁判所が判断することなので、私が決められる話ではないんです。

この記事が渡せるのは、決断ではなく材料のほうです。

それでも、「なぜ自分なのか」だけは分かりません。私にも分かりません

見比べても、残るものが1つあります。なぜ、自分なのか。

もし自分が移されたら、と考えると、いつも同じところで止まります。要らないから移されるのか。それとも、向こうで必要だから呼ばれるのか。たぶん、どちらの可能性もあります。私にも、どちらなのかは分かりません。

これは実際に移された話ではありません。移された経験は無いので、そのあとのことは書けません。「もし移されたら」と考えたときに浮かぶのが、この二択だという話です。

数字のほうにも、両方の欄があります。

厚生労働省の労働経済動向調査(令和8年5月調査)には、人が余っている部門から「配置転換による労働者の送出し」をした、という欄と、人が足りない部門に「配置転換による労働者の受入れ」をした、という欄が、どちらもあります。

会社の側から見れば、配置転換は「減らす手段」であると同時に、「足りないところを埋める手段」でもある。 調査票にどちらの欄もある、というのは、そういうことです。

だからあなたは期待されています、とは書きません。 書けるのは、どちらの欄もあるというところまでです。

そして、ここが大事なところだと思っています。

「理由を教えてもらえれば楽になる」は、たぶん成り立ちません。

2013年に、こう書いている人がいました。パートで働いていて、部署の人員削減で異動になった人の投稿です。自分が動かされる理由を、人づてに聞けています。上の人から見て、自分のいる部署が「暇そう」に見えていたから人を回せと言われた、と。

そのあとに続く言葉が、これでした。

「余計に怒りが湧いてきてしまいます」

理由を手に入れて、悪くなっています。 1件ですが、「聞ければ解決する」という前提を、この1件は崩します。

だからこの記事は、理由を聞きにいくことを最初の一手にしていません。


聞いても、答えが返ってこないことがあります。だから、聞かなくても見られるものから始めます。

ついでに、年の並びだけ書いておきます。2013年、2024年、2026年。13年ぶん離れた投稿に、同じ形の困りごとが並んでいます。 件数の話ではなく、年の離れ方の話です。

手取りは、休業手当の話になる前に、もう減っていることがあります

いちばん具体的で、いちばん先に来るのは、たぶんこれです。

残業は基本的にしないように、する場合は上司の承認が必要だと言われました。 私の場合は、これが最初でした。

異動の話がどうなるより先に、手取りのほうが動きます。

数字も並べておきます。厚生労働省の労働経済動向調査(令和8年5月調査)です。調査の対象は30人以上の常用労働者を雇っている全国の民営事業所で、有効回答は3,174事業所でした。

そのうち製造業で、労働者が過剰となっている部門等に何か対応した事業所を100としたとき、対応の内訳(複数回答・令和8年1〜3月期実績)は、こうなっています。

対応の内容製造業
1配置転換による労働者の送出し36%
2外部人材(派遣労働者等)の削減30%
3残業規制25%
4中途採用の削減・停止21%
一時休業(一時帰休)該当数値なし

読み方の注意を2つ。

ここは正直に書きます


1つ目。これは「事業所がそう答えた割合」です。 人数の割合ではありませんし、「◯%の人が配置転換されている」とも読めません。調査の利用上の注意にも、事業所の割合というより、そう回答した事業所で働く労働者の割合に近い、と書かれています。

2つ目。「一時休業(一時帰休)」の欄は「-」でした。 これは「該当数値がない」という意味で、ゼロ件だった、という意味ではありません。

そのうえで、形だけ見ておきます。残業規制が25%あって、一時休業のほうには数値が出ていない。 私の場合も、先に来たのは残業のほうでした。仕事が減る局面で、休業の話になる前に残業のほうが先に止まることがあります。

休業手当については、労働基準法26条にこう書かれています。

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

労働基準法 第26条(e-Gov法令検索)

ただし、「工程が止まったら休業手当が出ます」とは書けません。 「使用者の責に帰すべき事由」にあたるかどうかの判断が要るからです。ここでは条文の説明までにします。

もう1つ、先に減りうるものがあります。

その職に就いている間だけ付く手当は、異動した時点で止まることがあります。手当の仕組みは、こちらに書きました。

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念のため書いておくと、これは「資格を取れば移されずに済む」という話ではありません。 そういう根拠は、どこにもありませんでした。

移った先で怖いのは、人間関係より先に、置き場所と手順が全部変わることのほうです

もし移されたら、と考えたときに浮かぶのは、人間関係より先に、置き場所と手順が全部変わることです。 書類の整理、手順の変更、置き場所の変化。積み上げた段取りが、一度ゼロに戻る感じです。

移された経験はありませんが、近いことなら、あります。

機械が入れ替わったとき、作業手順も、操作手順も、その機械の点検項目も、また覚え直しでした。 正直、大変です。

ただし、これを「だから配置転換も同じです」とは書けません。 機械が入れ替わっても、場所は同じですし、周りにいる人も変わりません。近いことがあった、というところまでです。

同じ形のことを書いている人もいます。さっきの2013年の投稿には、こうありました。

「新しい部署でまたゼロから仕事を覚える不安」
「今までの1年が無駄になる悔しさ」

2024年には、長年いた場所からいきなり配置転換されて、とても慣れない、と書いている人もいました。

「慣れない」という状態は、法律のほうも一応は想定しています。労働安全衛生法59条2項は、雇い入れたときの安全衛生教育の規定を、作業内容を変更したときについても準用するとしています。ただ、この記事ではここまでにします。

移った先で分からないことがあるのは、法令の側もはじめから見込んでいます。その話は、こちらに書きました。

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今日は、何もしなくていいです。それでも5分で終わるものが、1つだけあります

ここまで読んで、「で、結局どうすればいいの」と思っている人がいると思います。1つだけあります。

その前に、期待を下げておきます。


これをやっても、工程が戻るわけではありません。異動が止まるわけでもありません。それでも、5分だけ使う価値はあると思っています。

コストのほうを書きます。

  • 誰にも聞きません。
  • 許可も要りません。
  • お金もかかりません。
  • 見つからなければ、そこで終わっていいです。

はしごにしておきます。どの段で止まっても構いません。上に行くほど偉い、という並びではありません。

はしご(6段)

  • 段0 今日は、何もしない
  • 最小(まずは、これだけで十分です)
  • 欄があった人は——書いてある範囲を読んで、いま言われている行き先と見比べる
  • 欄が無かった人は——次に見るのは就業規則です
  • 手取りのほうは——給与明細を、先月と見比べておく
  • 移る前に(該当する人だけ)——騒音の持ち場から移るなら、聴力を測っておく

段0 今日は、何もしない

読んだだけで閉じる。それで構いません。

紙は逃げません。明日でも、来週でもいい。

私も、あのとき何もしませんでした。いま振り返っても、あのとき何かできたとは思いません。 ただ、「状況が変わらないこと」と、「自分が何も知らないままでいること」は、別のことだったな、とは思います。

最小(まずは、これだけで十分です)


入社のときにもらった労働条件通知書(雇用契約書)を探して、「就業の場所」「従事すべき業務」の欄に、「変更の範囲」という言葉があるかどうかだけを見る。

読むのは、そのあとで大丈夫です。まずは、あるか無いかだけ。

見つからなかったら、そこでやめて構いません。交付することになっているのは会社の側なので、手元に無くても、あなたの落ち度ではありません。

欄があった人は——書いてある範囲を読んで、いま言われている行き先と見比べる

そこに書かれている範囲を読む。そして、いま言われている行き先と、並べて見る。

それだけです。そこから先の判定は、この記事ではしません。 見比べられる形にするところまでが、ここでできることです。

私の紙にも、この欄はあります。中身を知らないまま、ずっと持っていました。

欄が無かった人は——次に見るのは就業規則です

それはあなたのせいでも、会社の不備でもありません。 2024年3月以前からの契約には、改めて書き足す必要はないことになっているからです。

次に見るのは就業規則です。掲示、備え付け、書面、社内の電子データ——そのどれかで、必要なときに確認できる状態にしておくことになっています。

「見せてください」ではなく、「どこにあるんだろう」から始めてください。

私の職場では、社内の共有ファイルから見られます。あなたの職場がどの形なのかは、私には分かりません。 方法が複数認められている以上、そこは職場ごとに違います。

手取りのほうは——給与明細を、先月と見比べておく

残業が止まった時点で、手取りはもう動いています。

給与明細を、先月のものと並べる。それだけです。これも、自分の手元だけで終わります。

移る前に(該当する人だけ)——騒音の持ち場から移るなら、聴力を測っておく

うるさい持ち場から、うるさくない持ち場に移る。そういう場面が、この記事の読者にはありえます。

そのときに、移る前の聴力を測っておくという枠組みがあります。

騒音の多い持ち場から移るなら、移る前に聴力を測っておく——という話は、こちらに書きました。

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それから、公的な窓口の名前だけ置いておきます。

公的な窓口の名前


都道府県労働局や、全国の労働基準監督署の中などにある「総合労働相談コーナー」です。厚生労働省の案内ページには、予約は不要で、利用は無料だと書かれています。そして対象として挙げられている労働問題の中に、「配置転換」がそのまま入っています。

(※利用できる時間は、コーナーごとに違います)

行ってください、とは書きません。 ここに置いておくだけです。使うかどうかは、そのときに決めれば足ります。

これからのことを考えるなら、方向は3つあります

先に書いておくと、いまここで決める必要は無いと思っています。3つ並べておくだけです。

① この工場で、そのまま働き続けたい

たぶん、いちばん多いのはここだと思います。そして、この場合にやることが、いちばんはっきりしています。


さっきのはしごが、そのまま①の中身です。

紙を探して「変更の範囲」があるかを見る。無ければ就業規則のほうを見る。給与明細を、先月のものと並べる。——3つとも、誰にも聞かずに終わります。

この3つが①で効くのは、移されても、移されなくても、無駄にならないからです。移されなければ、自分の契約がどう書かれているかを知っただけで終わる。移されたら、そのときに手元に材料がある。どちらに転んでも、使いどころがあります。

そして、ここには会社を動かす手順が1つも入っていません。 誰かに頼む必要も、話を通す必要もありません。それは、いちばん動かしにくいものを当てにしていない、という意味でもあります。

② 移った先で、やっていく

移る話が具体的になってきた人は、こちらです。

先に来るのは、たぶん人間関係ではなく、置き場所と手順のほうです。

手順も、点検の項目も、覚え直しになります。正直、大変だと思います。 私自身、機械が入れ替わっただけでも大変でした。

ただ、「分からない」という状態は、法令のほうも想定している状態です。労働安全衛生法は、作業内容が変わったときにも教育の規定を準用するとしています。


移った先で何も分からないのは、あなたが劣っているからではありません。

そのうえで、②の場合に手元でできることも、①と同じです。移る前の給与明細を残しておく。紙か就業規則で、範囲がどう書かれていたかを見ておく。 移ってからだと、探す時間が取りにくくなります。

うるさい持ち場から移る人は、上に書いた移る前の聴力のことも、頭の隅に置いておいてください。

「新しい環境はチャンスです」とは書きません。 そういう話ではないと思うので。

③ 外に、どんな募集があるのかを見ておく

③は、いま決める話ではありません。決まっていないのはこちらも同じなので、決めようがないと思います。

ただ、外にどんな募集があるのかを見ておくだけなら、いまの持ち場に立ったままでもできます。

登録しないと見られないところもありますが、見るだけで終わっても、誰にも言わなくて済みます。

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※製造業の求人に特化したサービスです。いま動かなくても、条件を眺めるだけで構いません。

気になるところも、先に書いておきます。

登録すると、こちらの連絡先を渡すことになります。 連絡が来る時間は、こちらでは選べません。交替勤務だと、そこが引っかかる人もいると思います。寮つきや期間の決まった募集は、条件が会社ごとにばらばらです。 出ている条件が良いのか悪いのかは、いくつか並べてみないと判断できません。

向いているのは、「比べる相手がいない」状態が気持ち悪い人だと思います。1社しか知らないと、いま言われている条件を評価しようがないので。

向いていないのは、いま連絡が増えるのがしんどい人です。その場合は、①と②のほうだけでいいと思います。

そして、見比べてみて「いまの職場のほうがいいな」と思えたなら、それも1つの答えです。

決まっていないことと、まだ読んでいないことは、別のことです

長くなったので、まとめます。

この記事のまとめ

  • 配置転換そのものを「命じてよい」と定めた条文は、労働基準法にも労働契約法にもありません。 根拠になるのは労働契約(=紙)と就業規則のほうです
  • その紙には「変更の範囲」という欄があります。 厚生労働省の言葉で言うと、「将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲」です
  • この欄が加わったのは2024年4月1日から(令和6年4月1日以降に締結される労働契約)。それより前からの契約には、改めて明示する必要はないことになっています
  • 欄が無い人が見るのは就業規則です。 掲示・備え付け・書面・社内の電子データのどれかで、必要なときに容易に確認できる状態にする必要があることが、通達で明らかにされています
  • 書いてある範囲と、いま言われている行き先は、見比べられます。 ただし、断れるかどうかの判定は、この記事ではしません
  • 手取りは、休業手当の話になる前に、もう減っていることがあります(労働基準法26条は条文の説明として置きました)
  • 明日できることは1つ。紙を探して、「変更の範囲」という言葉があるか無いかだけを見る

最後に、もう一度だけ。

なぜ自分だったのかは、たぶん、しばらく分からないままだと思います。私にも分かりません。

状況も、たぶん変わりません。私一人が何かしたところで変わるとは、あのときも思えませんでした。

ただ、どこまで動かされうるのかは、もう書いてあります。


決まっていないことと、まだ読んでいないことは、別のことです。

同じ持ち場に立っていて、終わりの日付が先に決まっているのは自分だけ——という側の話は、こちらに書きました。

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この記事の出典


・労働基準法(昭和22年法律第49号)第15条・第26条・第106条|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049

・労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第5条・第52条の2|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023

・労働契約法(平成19年法律第128号)第3条|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128

・労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第59条|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057

・令和5年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156119.pdf

・リーフレット「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」(2024年9月)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001298245.pdf

・労働条件通知書(一般労働者用;常用、有期雇用型)モデル様式|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156118.pdf

・2024年4月から労働条件明示のルールが改正されます|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html

・確かめよう労働条件「配置転換|裁判例」|厚生労働省
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/hanrei/haichi/haiten.html

・大阪労働局「よくあるご質問(配置転換等)」|厚生労働省 大阪労働局
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/shurouchu/sonota.html

・労働経済動向調査(令和8(2026)年5月)の概況(公表 令和8年6月23日)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2605/dl/7roudoukeizaidouko.pdf

・総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html

・Yahoo!知恵袋(工場勤務・異動先の県も仕事内容も分からない・2026年4月18日)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11327345896

・Yahoo!知恵袋(部署の人員削減で異動になったパート勤務の投稿・2013年5月3日)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14106654994

・Yahoo!知恵袋(長年いた場所からいきなり配置転換された・2024年7月19日)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14301293174

・Yahoo!知恵袋(工場の直接雇用・閉鎖の噂があり早い段階から準備したい・2024年10月30日)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13306038828

※法令の条文は著作権法第13条により著作権の対象外のため、そのまま引用しています。条文の引用中の「…」は中略です。
※厚生労働省のQ&A・リーフレット・モデル様式・裁判例のまとめは、法令そのものではなく行政の解釈や広報です。この記事では「〜とされています」「〜と書かれています」という書き方にとどめています。
※統計は、事業所が回答した割合です。個人がそうなる確率ではありません。
※この記事は、個別の配置転換が有効かどうかを判定するものではありません。その判断は、最終的に司法が行うものです。
※法令・行政資料・統計・投稿の情報は、いずれも2026年9月10日時点で確認したものです。最新の情報は各ページでご確認ください。

  • この記事を書いた人

アヴァン

はじめまして、アヴァンです。電子部品系の工場で働く、現役の製造業ワーカーです。ミスが怖い夜、辞めたくなる朝、なかなか覚えられなくて落ち込む日——現場で私自身がつまずいたことや、そこで見つけた小さなコツを、同じ目線で書いています。えらそうに教える場所ではなく、あなたが明日もうちょっと楽になるための「保健室」でありたいと思っています。

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