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工場の中で、第二種電気工事士だけで電気工事ができるかは、免状ではなく、その工場が電気をどう受けているかで分かれます。
「ダメ」と言われて理由が分からなかったのは、あなたの勉強が足りなかったからではありません。
たとえば、「電気の資格、取ったんでしょ。これ替えられる?」と振られて、答えかけたところで「工場の中は二種じゃダメなんだよ」と止められた。説明はその一言だけで、話はそこで終わった——そんな場面です。
自分で取った免状なのに、何ができて、何ができないのかが分からない。
しかも持っているぶん、今さら「なんでですか」とは聞きにくいですよね。

先に、地図を置いておきます。
この記事の結論
第二種電気工事士(二種電工)で工場の電気工事に従事できるかは、工場が次の3つのどれに当たるかで変わります。
・低圧で電気を受けている工場
・高圧で受けていて、契約電力が500kW未満の工場
・契約電力が500kW以上の工場
どれに当たるかは、勉強しても出てこない、工場ごとの事実です。知らなくて当たり前で、聞いてよいことです。
この記事では、3つそれぞれで何が変わるかを、電気工事士法と電気事業法の条文で確かめます。
そして最後に、自分の工場がどれに当たるかを確かめるための、1問を置きます。第二種の試験の勉強法は出てきません。
- 結論:第二種で工場の電気工事ができないかどうかは、工場の「電気の受け方」で分かれます
- 分かれ道は1つ。「その工場が、高圧で受電しているか」です
- 低圧で受電している工場なら、第二種の範囲に当たりえます
- 高圧で受電していて500kW未満なら、足りないのは「認定電気工事従事者」の1枚です
- 500kW以上の工場は電気工事士法の外。でも「資格が要らない」ではありません
- 区分が分かるまでは、「持っているから大丈夫」で配線に手を出さない
- 明日、保全の電気担当に1問だけ聞く:「うちの工場って、高圧で受電してますか」
- 取った免状は、区分が分かったところから位置が決まります
- よくある質問
- まだ取っていない人へ:取る前に、自分の工場の受電を確かめておく
- まとめ:分からなかったのは、免状ではなく「工場の電気の受け方」でした
結論:第二種で工場の電気工事ができないかどうかは、工場の「電気の受け方」で分かれます
まず、表で全体を見てください。条文の言葉は、このあと少しずつ出します。
| 工場の電気の受け方 | 第二種電気工事士だけで従事できるか | 足りないもの・かかってくる決まり |
|---|---|---|
| 低圧で受けている | 第二種の範囲に当たりうる(例外あり) | ―― |
| 高圧で受けていて、契約電力500kW未満 | 100V・200Vの配線の電気工事でも、第二種だけでは従事できない | 認定電気工事従事者(600V以下) |
| 契約電力500kW以上 | 電気工事士法の対象の外 | 主任技術者の指示と保安規程。資格をどう扱うかは会社の決まり |
「工場の中は二種じゃダメ」という一言は、表の2行目の工場なら、条文と合う言い方です。
ただ、3つの工場すべてに当てはまる言い方ではありません。第二種の免状が、工場という場所だけで一律に外される、という話ではないんです。
一言で止めた側も、自分の工場に合わせて、短く言っただけかもしれません。
経験のある人でも、ここを取り違えていた、という投稿があります
2018年、Yahoo!知恵袋に、ある質問が立ちました。工場で働いていて第二種の免状を持っている人が、工場の中の電気工事はダメだと言われた、という内容です。
その質問に付いたベストアンサーに、こう書かれていました。
自分は2013-5年あたりで2種の電気工事士で大きなビルの2次側(100V)も触れると思っており 普通にコンセント作ったりしていましたが実際はNG作業でした。
Yahoo!知恵袋 質問への回答(2018年2月23日)
書かれているのはビルの話ですが、取り違えの形は同じです。
100Vの配線なら第二種の範囲だ、と考えていた。免状を持って、実際に作業をしていた人でも、です。
ここで迷うのは、知識の量の問題ではなさそうです。区分を決めているのが、配線の電圧ではなく、建物の電気の受け方のほうだからです。
次で、その中身を見ます。
分かれ道は1つ。「その工場が、高圧で受電しているか」です
最初に分かれるのは、工場が電気を、低圧で受けているか、高圧で受けているかです。
出てくる言葉は、2つだけにします。
- 一般用電気工作物等……第二種電気工事士が作業に従事できる側
- 自家用電気工作物……原則として、第一種電気工事士の側(このあと例外が出てきます)
低圧で受けているかどうかで、区分が分かれる
電気事業法38条は、「一般用電気工作物」を、ざっくり言うと次の形で決めています。
構内で低圧の電気を受けて使っていて、その低圧で受ける電線のほかには、構内の外とつながっていないもの(38条1項1号)。
ここでいう低圧は、600ボルト以下です(電気事業法施行規則48条1項)。電気工事士法では、これを含めて「一般用電気工作物等」と呼んでいます。
高圧で電気を受けている工場は、この形に当たりません。この記事でいう「高圧で受けている」は、600ボルトを超える電圧で受けていること全体を指します。特別高圧(特高)で受けている工場も、こちら側です。
一般用に当たらないものは、順に分類されて、工場の場合は「自家用電気工作物」に入ります(電気事業法38条2項・4項)。
経済産業省の「電気工事士法の逐条解説」も、2つをこう説明しています。
概括的にいえば、一般家庭、商店等の屋内配電設備等がこれに該当する。
電気工事士法の逐条解説(令和6年7月版)第2条解説3(一般用電気工作物について)
概括的にいえば、ビル、工場等の発電・変電設備、需要設備等がこれに該当する。
同 第2条解説4(自家用電気工作物について)
100Vのコンセントでも、区分は「構内の受け方」で決まる
ここが、いちばん取り違えやすいところです。
区分は、その配線が100Vか200Vかでは決まりません。構内全体が、電気をどう受けているかで決まります。
高圧で受けている工場なら、変圧器で100V・200Vに下げたあとのコンセントや配線も、自家用電気工作物の側です。
経済産業省の資料にも、この形がそのまま例として出てきます。このあと「500kW未満なら」の見出しで引用します。
では、自分の工場はどちらなのか。
これは、設備に近づいて確かめるものではありません。聞けば分かることです。 聞き方は、このあと「明日、保全の電気担当に1問だけ聞く」の見出しで、1問にまとめておきます。
低圧で受電している工場なら、第二種の範囲に当たりえます
低圧で電気を受けている工場なら、第二種電気工事士の範囲(一般用電気工作物等)に当たりえます。
電気工事士法3条2項は、こう書いています。
第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第二種電気工事士」という。)でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業(一般用電気工作物等の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。
電気工事士法 第3条第2項
一般用電気工作物等の電気工事は、第二種電気工事士(と第一種電気工事士)が従事する範囲だ、ということです。
ただし、低圧で受けていても、一般用に当たらない場合があります。1つは、火薬類(煙火を除く)を製造する事業場などです。もう1つは、小規模発電設備以外の発電用の電気工作物が、同じ構内にある場合です。 根拠は、電気事業法38条1項ただし書と、同法施行規則48条2項・3項です。
ここは分けて読んでください
範囲に当たることと、あなたがその作業をすることは、別の話です。 工場の中で誰がどの作業をするかは、職場の分担と指示で決まります。
高圧で受電していて500kW未満なら、足りないのは「認定電気工事従事者」の1枚です
高圧で電気を受けていて、契約電力が500kW未満の工場。
「工場の中は二種じゃダメ」が条文と合うのは、ここです。
電気工事士法3条1項は、自家用電気工作物の電気工事について、こう決めています。
第一種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第一種電気工事士」という。)でなければ、自家用電気工作物に係る電気工事(第三項に規定する電気工事を除く。第四項において同じ。)の作業(自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。
電気工事士法 第3条第1項
第二種の免状だけでは、ここに入れません。
ただ、同じ条の4項に、例外があります。
自家用電気工作物に係る電気工事のうち経済産業省令で定める簡易なもの(以下「簡易電気工事」という。)については、第一項の規定にかかわらず、認定電気工事従事者認定証の交付を受けている者(以下「認定電気工事従事者」という。)は、その作業に従事することができる。
電気工事士法 第3条第4項
「簡易なもの」の中身は、省令に書かれています。
法第三条第四項の自家用電気工作物に係る電気工事のうち経済産業省令で定める簡易なものは、電圧六百ボルト以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事(電線路に係るものを除く。)とする。
電気工事士法施行規則 第2条の3
経済産業省の資料では、認定電気工事従事者が従事できる電気工事を、こう例示しています。
最大電力500kW未満の需要設備のうち600V以下で使用する電気工作物(例えば高圧で受電し低圧に変換されたあとの100V又は200Vの配線、負荷設備等)の電気工事
経済産業省「電気工事士等の従事範囲とは(電気工事士法第3条)」
高圧で受けていて500kW未満の工場で、第二種の免状に足りないのは、「認定電気工事従事者」の1枚です。
これがあれば、600V以下(電線路を除く)の電気工事に従事できる資格の側に入ります。ただし、ネオン工事と非常用予備発電装置工事は除かれます(電気工事士法3条1項・3項、同法施行規則2条の2)。
ここでも、実際に誰が作業するかは、職場の分担と主任技術者の指示の話です(電気事業法43条5項。このあと出てきます)。
認定電気工事従事者には、免状が届いたあとに2つの道があります
認定電気工事従事者は、試験を受けて取る資格ではありません。経済産業省のページにも「本資格は国家試験による取得制度はありません。」とあります。
第二種電気工事士の人の基準は、省令にこう書かれています。
二 第二種電気工事士であつて、第二種電気工事士免状の交付を受けた後、第二条の四第一項に規定する電気に関する工事に関し三年以上の実務の経験を有し、又は経済産業大臣が定める簡易電気工事に関する講習(以下「認定電気工事従事者認定講習」という。)の課程を修了したもの
電気工事士法施行規則 第4条の2第2項第2号
道は2つです。
- 免状の交付を受けたあと、3年以上の実務の経験を積む
- 免状の交付を受けたあと、認定講習を修了する
どちらも「免状の交付を受けた後」です。試験に合格しただけで、免状がまだ届いていない段階では、この2号には当たりません。
講習を実施している一般財団法人 電気工事技術講習センターの案内では、次のようになっています(2026年9月17日時点)。
- 受講料は12,500円(税込)
- 集合講習は1日(講義は10時〜17時)。オンライン講習は合計6時間
- 受講に、電気工事の実務経験は求められていない
- 講習日の前日までに免状が交付されていないと、修了しても認定証は交付されない
- 修了したあと、認定の申請は本人が産業保安監督部に行う(講習センターが認定証を出すわけではない)
講習代を誰が持つかは、会社ごとです
講習代を会社が持つかどうかは、条文には書かれていません。会社ごとです。
資格の費用を誰が持つか、取ったあとに手当がつくかを、確かめる項目はこちらにまとめました。
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工場で"手当がつく"資格はどれ?|同じ資格が0円にもなる、外さない選び方
資格を取れば手当がつく、とは限りません。同じ乙4でも0円の会社があります。限られた時間とお金で外さないための、資格の選び方です。
続きを見る
500kW以上の工場は電気工事士法の外。でも「資格が要らない」ではありません
契約電力が500kW以上の工場は、電気工事士法の「自家用電気工作物」から外されています。
電気工事士法2条2項は、自家用電気工作物から「最大電力五百キロワット以上の需要設備」などを除いています。除くものは、省令でこう決められています。
法第二条第二項の経済産業省令で定める自家用電気工作物は、発電所、蓄電所、変電所、最大電力五百キロワット以上の需要設備、送電線路〔中略〕及び保安通信設備とする。
電気工事士法施行規則 第1条の2
ここでいう最大電力は、逐条解説で「最大電力(電力会社との契約電力)500kW以上の需要設備」と説明されています。
確かめるときの言葉は、「契約電力」です。
外した理由も、逐条解説に書かれています。
その設置者が電気保安に関する十分な知見を有しており、事実上、電気工事業者の選定も含めて、工事に関して十分的確に保安を確保できる体制にあると考えられ、事実、事故発生率も低いことから、これらについては、本法の規制対象から除外している。
電気工事士法の逐条解説(令和6年7月版)第2条解説4
会社の側に保安の体制があるから、電気工事士法の規制からは外した、という理屈です。
電気工事士法の外でも、電気事業法の決まりは残る
500kW以上の工場でも、電気事業法の上では、自家用電気工作物のままです。
そこには、次の決まりがかかっています。
- 設置する会社は、保安の監督のために主任技術者を選任する(電気事業法43条1項)
- 工事や維持に従事する人は、主任技術者の指示に従う(同43条5項)
- 設置する会社も、そこで働く人も、保安規程を守る(同42条4項)
事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。
電気事業法 第43条第5項
事業用電気工作物を設置する者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。
電気事業法 第42条第4項
自家用電気工作物は、ここでいう「事業用電気工作物」に含まれます。
経済産業省の資料にも、こう注記があります。
注)電気工事士が従事する電気工事の範囲外は、電気主任技術者の監督の下で工事が実施される。
経済産業省「電気工事士等の従事範囲とは(電気工事士法第3条)」
作業する人に、どの資格を求めるか。それは会社の決まりの側の話で、条文からは分かりません。
だから、「500kW以上なら、電気工事士の資格が要らない」とは書けないんです。
主任技術者がいるから500kW以上、とは言えません
主任技術者がいるかどうかで、500kW以上かを見分けようとする説明を見かけることがあります。
でも、条文からは、そうは読めません。
主任技術者を選任する決まり(電気事業法43条1項)は、事業用電気工作物を設置する会社全体にかかっています。500kW未満の工場も含まれます。
さらに、保安の管理を外部に委託する形で、国の承認を受けて、主任技術者を選任しないことができる場合もあります(電気事業法施行規則52条2項)。
主任技術者がいる・いないでは、契約電力は分かりません。確かめるなら、契約電力そのものを聞くほうが近道です。
区分が分かるまでは、「持っているから大丈夫」で配線に手を出さない
ここまでの話を、これからの動き方に置きかえると、こうなります。
自分の工場がどの区分か分かるまでは、「第二種を持っているから大丈夫」で、配線に手を出さない。
理由は、電気工事士法3条が向いている相手にあります。
3条1項・2項は「〜でなければ、…従事してはならない」という形で、作業に従事する本人に向いています。
逐条解説は、「従事する者」をこう説明しています。
「電気工事の作業に従事する者」とは、電気工事の現場において自らが実地に電気工事の作業を行う者をいう。また、いわゆる補助工事人として工事の一部の補助に当たる者であっても、実際に作業を自分で行う場合は、これに該当する。しかし、単に工事の監督のみを行う者は該当しない。
電気工事士法の逐条解説(令和6年7月版)第1条解説2
実際に手を動かす人が、従事する者です。 「資格を持っている人がそばで見ていれば、持っていない人が作業してよい」とは、条文には書かれていません。
3条1項・2項に違反した者への罰則は、「三月以下の拘禁刑又は三万円以下の罰金」です(14条)。
これは、これから先の作業で迷ったときに、手を止める理由として書いています。 これまでの作業がどうだったかは、工場ごとに事実が違うので、この記事では判定しません。
機械や制御盤の中の配線の扱いは、この記事では扱いません
作業の前に、保全の電気担当や主任技術者に確認してください。
免状と、会社が行う「特別教育」は別の制度です
電気工事士法の目的は、1条にこう書かれています。
この法律は、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もつて電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的とする。
電気工事士法 第1条
逐条解説も、作業をする人自身の災害を防ぐことは、この法律の直接の目的ではない、と説明しています。
一方、「特別教育」は、低圧の充電電路の敷設や修理などの業務につかせるときに、事業者(会社)が行うものです。根拠は、労働安全衛生法59条3項と労働安全衛生規則36条4号です。
電気工事士の免状を持っていることと、会社がこの教育を行うことは、別々の決まりです。
会社が行う教育の話(誰が受けさせるのか、費用は誰が持つのか)は、こちらに書きました。
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特別教育を受けていない作業をやらされている|受けさせる義務は、会社側にあります
この作業、特別教育がいるやつだった。でも自分は受けていない——それ、あなたの落ち度ではありません。受けさせる義務がどこにあるのかを、労働安全衛生法の条文で確かめます。
続きを見る
電気まわりで何か起きたその場で、止める・呼ぶ・待つの話は、こちらに書きました。
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「止める・呼ぶ・待つ」と教わったのに、待っていたら怒られた ― 工場で迷ったときの判断の基準
止めて・呼んで・待てと教わったのに、待っていたら怒られた。あの板挟みで迷ったとき、何を基準に動けばいいのかを整理しました。
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明日、保全の電気担当に1問だけ聞く:「うちの工場って、高圧で受電してますか」
明日できることは、1つだけです。
明日できること
保全の電気担当(または主任技術者)に、1問だけ聞く。
「うちの工場って、高圧で受電してますか」
なぜ、この1問なのか
理由は3つです。
1つめ。いちばん最初の分かれ道だから。
「高圧です」と返ってきたら、少なくとも表の1行目(低圧で受けている工場)ではない、と分かります。その工場の100V・200Vの配線も、電気事業法の上では自家用電気工作物の側です。
2つめ。免状の知識を聞いているわけではないから。
聞いているのは、法律のことではなく、建物のことです。免状を持っていても持っていなくても、工場の人に聞かないと分からない事実です。
「持ってるのに知らないの?」になる種類の質問ではありません。
3つめ。確認するのは、決められた手順の側だから。
電気事業法は、工事や維持に従事する人が、主任技術者の指示に従う仕組みにしています(43条5項)。
経済産業省の「よくある質問(電気工事士)」には、測定器の取り付けについての回答の中に、こう書かれています。
但し、自家用電気工作物構内の配電盤など、短絡、感電などの危険を伴う場所については、あらかじめ電気主任技術者の指示確認を行うことが望ましいです。
経済産業省「よくある質問(電気工事士)」Q10
危ない場所では、前もって主任技術者に確認するのが望ましい。国の資料にも、そう書かれています。
確認を挟むことは、知識が足りない人だけがすることではありません。
「なんで?」と聞き返されたら
聞き返されたら、理由を1つ添えると、話が通りやすくなると思います。たとえば、こんな言い方です。
「資格の勉強で、受電のしかたによって電気工事士の範囲が変わると知ったので。うちはどっちか、知っておきたくて」
まだ第二種を取っていない人なら、「電気工事士を取るか考えていて、工場の受電のしかたで範囲が変わると読んだので」でも通じると思います。
どちらも、法律の知識ではなく、工場の事実を聞いている形です。
「高圧です」と返ってきたら、もう1問。返ってこなくても
「高圧です」と返ってきたら、次の1問で、表の2行目か3行目かが分かれます。「特高です」と返ってきたときも、同じように次の1問に進んでください。
「契約電力って、500kW以上ですか」
答えと、この記事で読むところの対応は、こうです。
| 返ってきた答え | 読むところ |
|---|---|
| 低圧で受けている | 「低圧で受電している工場なら、第二種の範囲に当たりえます」 |
| 高圧で、契約電力500kW未満 | 「足りないのは『認定電気工事従事者』の1枚です」 |
| 契約電力500kW以上 | 「電気工事士法の外。でも『資格が要らない』ではありません」 |
契約電力は、工場と電力会社との契約の話です。保全の人でも、その場ですぐには答えが出ないことがあると思います。
そのときは、主任技術者に聞いてよいことです。主任技術者が社内にいない工場では、保安の管理を外部に委託していることもあります。
その場で答えが返ってこなくても、それはあなたのせいではありません。
頼まれたときは、確認を1つ挟む
聞ける相手が今日いない人は、次に「持ってるならやって」と頼まれたときの一言だけ、メモしておいてもいいと思います。
「区分を確認してからでいいですか。うちが高圧だと、二種だけでは足りないので」
作業を引き受けるか、引き受けないかの話ではありません。その前に、確認を1つ挟むだけです。
取った免状は、区分が分かったところから位置が決まります
取ったことが無駄だったのか。その答えも、区分が分かると見えてきます。
- 低圧で受電している工場……第二種の範囲に当たりえます。免状は、その範囲の電気工事に従事するための資格です
- 高圧で受電していて500kW未満の工場……足りないのは認定電気工事従事者の1枚です。そこへの入口が、第二種の免状です。 3年の実務も、認定講習も、免状の交付を受けたあとが前提です(電気工事士法施行規則4条の2第2項2号)
- 契約電力500kW以上の工場……電気工事士法の外で、主任技術者の指示と、会社の決まりの下にあります。資格をどう扱うかは、会社ごとです
免状そのものについても、1つだけ。
電気工事士法4条2項には「電気工事士免状は、都道府県知事が交付する。」とあります。第二種の免状は、試験に合格した人などが交付を受けるものです(4条4項)。
職場で使う場面があるかどうかとは別に、その免状は、あなたに交付されたものです。
免状が、試験に受かった本人に交付されるものだという話は、乙4の記事で条文から書きました。
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乙4は意味がなかったのか ―「使っていない」と「持っていない」は違います
乙4を取ったのに、職場で使う場面がない。意味あったのかな——そう思ったことはありませんか。免状は消防法があなた個人に与えた権限で、会社のものではありません。立会いでできること、10年で失効しない理由まで、条文で確かめます。
続きを見る
よくある質問
Q. 第一種電気工事士を取れば、工場の中の電気工事もできますか?
第一種電気工事士は、自家用電気工作物の電気工事に従事できる資格です。ただし、ネオン工事と非常用予備発電装置工事は除かれます(電気工事士法3条1項・3項、同法施行規則2条の2)。
契約電力500kW以上の工場は、そもそも電気工事士法の外で、主任技術者の指示と保安規程の下にあります。作業する人に資格を求めるかは、会社の決まりです。
また、第一種の免状は、試験に合格するだけでは交付されません。合格に加えて、3年以上の実務の経験が要ります(電気工事士法4条3項1号・同法施行規則2条の4第2項)。
取るかどうかは、この記事では勧めも止めもしません。
Q. 電験三種を持っています。認定電気工事従事者の対象になりますか?
電験三種(第三種電気主任技術者)の免状も、電気主任技術者免状です。
電気主任技術者免状の交付を受けたあと、次のどちらかに当たれば、認定の対象です。電気工作物の工事・維持・運用に関する3年以上の実務の経験か、認定講習の修了です。根拠は、電気工事士法施行規則4条の2第2項3号です。
Q. 試験には合格しましたが、免状がまだ届いていません
第二種の人の認定の基準は、「第二種電気工事士免状の交付を受けた後」です(電気工事士法施行規則4条の2第2項2号)。
講習センターの案内でも、講習日の前日までに免状が交付されていないと、講習を修了しても認定証は交付されない、とされています。まずは免状の交付を待ってからの話になります。
まだ取っていない人へ:取る前に、自分の工場の受電を確かめておく
この見出しは、まだ第二種を取っていない人に向けたものです。もう持っている人は、まとめへ進んでください。
工場の中で使うことを考えて、第二種を取るか迷っているなら、取る前に、自分の工場の受電のしかたを確かめておくのがおすすめです。取ったあとに「工場の中はダメ」と言われて戸惑うことが、起きにくくなります。
確かめ方は、持っている人と同じ1問です。「うちの工場って、高圧で受電してますか」。
高圧で受電していて契約電力500kW未満の工場なら、第二種だけでは、100V・200Vの配線の電気工事にも従事できません。その場合に何が足りないかは、上の「足りないのは『認定電気工事従事者』の1枚です」の見出しに書きました。
費用を誰が持つか、取ったあとに手当がつくかも、取る前に確かめておきたいところです。確かめる項目は、手当がつく資格と、取る前に確かめることにまとめています。
独学で進めるか、講座を使うかは、人によって合う合わないがあります。第二種の試験には、学科試験と、実際に配線を作る技能試験があります。講座で学ぶ方法を見ておきたい人向けに、1つだけ置いておきます。
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第二種電気工事士の講座(eラーニング)を見てみる ▶※受講料は、Eラーニング講座で21,780円(税込・2026年9月18日時点)です。講座ページの教材一覧には、技能試験で使う工具や練習用の材料は載っていません(同日時点)。技能試験は、受験者が工具を持参して受ける試験です(電気技術者試験センターの受験案内より)。
まとめ:分からなかったのは、免状ではなく「工場の電気の受け方」でした
- 第二種電気工事士だけで工場の電気工事に従事できるかは、工場の電気の受け方で分かれます
- 低圧で受電している工場なら、第二種の範囲に当たりえます(誰が作業するかは、職場の分担と指示)
- 高圧で受電していて500kW未満なら、100V・200Vの配線も自家用電気工作物の側。足りないのは認定電気工事従事者の1枚で、その入口が第二種の免状です
- 契約電力500kW以上なら電気工事士法の外。でも、主任技術者の指示と保安規程は残ります
- 区分が分かるまでは、「持っているから大丈夫」で配線に手を出さない
「工場の中は二種じゃダメ」と言われて、理由が分からなかった。
それは、あなたの勉強が足りなかったからではありません。 分からなかったのは法律ではなく、自分の工場の電気の受け方という、工場ごとの事実でした。
工場ごとの事実は、工場の人に聞かないと分かりません。だから、聞いてよいことです。
明日できること
保全の電気担当(または主任技術者)に、1問だけ。「うちの工場って、高圧で受電してますか」
この記事の出典
・電気工事士法(昭和35年法律第139号)第1条・第2条・第3条・第4条・第14条|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000139
・電気工事士法施行規則(昭和35年通商産業省令第97号)第1条の2・第2条の2・第2条の3・第2条の4・第4条の2|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/335M50000400097
・電気事業法(昭和39年法律第170号)第38条・第42条・第43条|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000170
・電気事業法施行規則(平成7年通商産業省令第77号)第48条・第52条|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/407M50000400077
・労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第59条|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057
・労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第36条|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
・電気工事士等の従事範囲とは(電気工事士法第3条)|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/files/1-1kouzisi-hani.pdf
・電気工事士法の逐条解説(令和6年7月版)|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/koujisichikujyou.pdf
・よくある質問(電気工事士)|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/files/kouzi-si-QA201803.pdf
・認定電気工事従事者|経済産業省
https://www.meti.go.jp/information/license/c_text27.html
・認定講習について|一般財団法人 電気工事技術講習センター
https://www.eei.or.jp/approval/
・受講料|一般財団法人 電気工事技術講習センター
https://www.eei.or.jp/approval/guide.php
・当日の流れ|一般財団法人 電気工事技術講習センター
https://www.eei.or.jp/approval/class.php
・オンライン講習|一般財団法人 電気工事技術講習センター
https://www.eei.or.jp/approval/online_course.php
・Yahoo!知恵袋(2018年2月23日の質問への回答)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12186595432
※リンクを付した15件のURLは、いずれも2026年9月17日に閲覧して確認したものです。