心の話

工場の新人が"信頼される人"になるには ― 大事なのは「向上心」と「挑戦心」の2つだけ

結論から、はっきり言います。工場に入ったばかりのあなたが、先輩に信頼されて、どんどん成長していけるかどうか。それを分けるのは、器用さでも、要領のよさでも、経験でもありません。「向上心」と「挑戦心」。この2つを持てるかどうかだけです。

逆に言えば、才能もセンスもいらない。今日から誰にでも持てる、この2つの心構えさえあれば、あなたはきっと変わっていけます。少なくとも私は、この2つで景色が変わりました。だから、当時の自分に一番伝えたかったこの話を、今のあなたに書きます。

はじめまして、アヴァンです。電子部品・コネクタ系の工場で、今も現場に立っている一人です。新人の頃はまったくうまく立ち回れず、毎日ただ時間が過ぎるのを待っていた側の人間でした。だからこそ、抜け出した今、伝えられることがあります。

「言われたことだけやって、あとは時間との戦い」——それ、昔の私です

新人のうちって、こうなりがちですよね。

先輩に言われた作業を、なんとか終える。でも、次に何をすればいいか分からない。「何かやることありますか」と聞くのも、忙しそうな先輩を邪魔する気がして、気が引ける。だから、なんとなく道具を片付けるフリをしたり、同じところを拭き直したりして、自分の存在を消すように、ただ時間が過ぎるのを待つ。

気づけば、時計ばかり見ている。「あと3時間か……」と、終業までの長さに気が遠くなる。仕事に行っているのに、やっているのは"時間つぶし"。——この感覚、痛いほどわかります。私がまさにそうでしたから。

でも、はっきり言わせてください。この"待ちの時間"は、あなたの一番もったいない時間です。なぜそう言い切れるのか。次でお話しします。

待ちの姿勢が、あなたを"置いていかれる人"にする(先輩の本音も正直に)

ここは、教える側の本音まで、包み隠さず書きます。あなたが知っておくと得だからです。

細かく指示し続けるのは、先輩も正直しんどいんです。「次はこれ」「そこはそう持って」「違う、こう」——一つひとつ言い続けるのは、自分の作業をしながらだと本当に疲れる。だから、待ちの姿勢の新人に対して、先輩の心はだんだんこう動きます。

先輩の心の中(悪気はない)


・「この子には、簡単で安全な作業だけ任せておこう」
・「いちいち教えるより、自分でやったほうが早いな……」

結果として、あなたが新しいことを覚えるチャンスそのものが、静かに減っていく。任される仕事は広がらず、いつまでも同じ持ち場。そして半年後、あとから入った後輩のほうが色々な作業を任されていたりする。「なんで自分は……」と落ち込む。——これが、待ちの姿勢の行き着く先です。

こわいでしょう。でも大丈夫。ここから抜け出す道は、ちゃんとあります。それが、向上心と挑戦心です。

解決策① 向上心 ―「毎日ひとつ、盗む」

向上心って言うと大げさに聞こえますが、やることは超シンプルです。毎日、たったひとつでいいから、新しいことを覚える。盗む。

たとえば、こんな小さな「ひとつ」


・今日はこの機械の段取りを覚えた
・先輩が検査するときの手の動き、あのコツを盗んだ
・ヒヤリとした場面と、その回避の仕方を1つ頭に入れた

本当に、これくらい小さくていいんです。でも、1日ひとつなら、1ヶ月で30、1年で360以上。半年もすれば、入った頃の自分とは別人です。小さな「ひとつ」は、積み上がると信じられない差になる。

そしてもう一つ大事なのが、「このチームの役に立ちたい」という気持ちを持つこと。自分の作業が終わったら「次、何か手伝えることありますか」と一声かける。誰かが重いものを運んでいたら、さっと手を貸す。——こういう姿勢は、口で言わなくても、自然と伝わっていきます。人は、前を向いている人間を放っておけないんです。

解決策② 挑戦心 ―「逃げるな。自分の手でやれ」

そして、ここが一番大事。声を大にして言いたいところです。失敗を恐れず、自分から手を挙げて、やってみること。

正直な話をします。「言われてからやる」のって、ラクなんですよ。だって、もしミスしても、心のどこかで「言われたからやっただけ」と、先輩のせいにできる。その安心感が、確かにある。

でもね——その安心感こそが、あなたの成長を静かに殺します。

人から言われた通りに手を動かしただけの作業を、あなたは1週間後に覚えていますか? たぶん、忘れています。でも、自分で「やります」と手を挙げて、緊張しながら、自分の判断で、自分の手でやり切った作業は——不思議と、体に染み込んで忘れないんです。

「インプット3割、アウトプット7割」という言葉があります。人は、聞いたり教わったりするより、実際に自分でやったことのほうが、はるかに身につく。だから、逃げずに手を動かした分だけ、あなたは伸びる。これは近道どころか、唯一の道だと私は思っています。

もちろん、「またミスしたらどうしよう」と怖くなる気持ちも、痛いほどわかります。ミスして落ち込む夜のしんどさは、こちらの記事(工場でミスをするのが怖い・落ち込むあなたへ)に別で書きました。でも、覚えておいてほしい。新人のミスは、挑戦した証拠です。挑戦して、失敗して、直す。この一見カッコ悪いサイクルの中でしか、人は本当には成長できません。ミスしていい。だから、逃げないでほしい。

「先輩がやってたあの作業、次は自分にやらせてください」——この一言が言えるかどうか。それが、1年後のあなたを大きく変えます。

逃げそうになったら、私はこの言葉を唱える

……とか、えらそうに書いていますが、私だって人間です。「今日はしんどいな、やめとこうかな」と弱気になる瞬間、今でもあります。そんなとき、私が心の中で唱える言葉があります。

「逃げちゃだめだ」

アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』/碇シンジ

主人公・碇シンジが自分を奮い立たせる、あのセリフです。ダサいと笑われるかもしれません。でも、いいんです。自分を前に押し出すスイッチなんて、こういうもので十分なんですから。

そして、これは声を大にして言いたいのですが——アニメって、こういう名言の宝庫なんですよね。折れそうなとき、迷ったとき、作品の中の一言に背中を押してもらえることが、本当にたくさんある。仕事の教科書には載っていない"心の燃料"が、そこにはあります。

エヴァを観たことがない人は一度、しばらく観ていない人は改めて。きっと、今のあなたの状況だからこそ刺さる言葉が見つかります。あなたも、自分だけの"逃げないための合言葉"を、ひとつ胸に持っておくといいですよ。

その先で、あなたを待っているもの

向上心と挑戦心を持って動き続けると、少しずつ、でも確実に、周りの反応が変わってきます。

「あいつ、最近伸びてるな」と一目置かれ、色々な仕事を任され、教えてもらえるようになる。頼られることも増える。——正直に言えば、仕事は増えます。忙しくなります。でも、それは何より、あなたの居場所が、この職場にちゃんとできた証拠なんです。

存在を消して時間と戦っていたあの新人が、いつのまにか「あいつがいないと困る」と言ってもらえる存在になる。私自身がそうでした。気づけば、職場に欠かせない一人になっていました。あの、時計ばかり見ていた頃の自分に、教えてやりたいくらいです。

自分の居場所を、自分の手でつくりたい。周りに認められたい。——もしあなたがそう思っているなら、向上心と挑戦心、この2つに賭けてみる価値は、じゅうぶんにあります。

まとめ

  • 信頼される新人になる鍵は、才能じゃない。「向上心」と「挑戦心」の2つ
  • 向上心=毎日ひとつ、新しいことを盗む+チームに貢献しようという気持ち。
  • 挑戦心=逃げずに、自分の手でやる。ミスはセット、それでいい(インプット3割・アウトプット7割)。
  • 逃げそうになったら、自分だけの合言葉で奮い立たせる。

まずは今日、たったひとつだけ。先輩に「これ、自分にやらせてもらえますか」と言ってみてください。その小さな一歩が、あなたの居場所をつくり始めます。応援しています。

  • この記事を書いた人

アヴァン

はじめまして、アヴァンです。電子部品系の工場で働く、現役の製造業ワーカーです。ミスが怖い夜、辞めたくなる朝、なかなか覚えられなくて落ち込む日——現場で私自身がつまずいたことや、そこで見つけた小さなコツを、同じ目線で書いています。えらそうに教える場所ではなく、あなたが明日もうちょっと楽になるための「保健室」でありたいと思っています。

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