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あなたの夜勤が、午後10時から午前5時の外に、1分でも出ているなら、それは外してもらえる側の働き方です。
通るかどうかは、うちがどれだけ大変かでは決まりません。
私は、知りませんでした。
就業規則は、よく見るようにしています。それでも、この制度のことは知らないままでした。
確かめることは、3つだけです。育児・介護休業法19条1項が見ているのは、これだけです。
- その会社で、引き続き1年以上働いているか
- 深夜に子を保育できる16歳以上の同居の家族が、いるかいないか
- 所定労働時間が、丸ごと午後10時〜午前5時の中に収まっていないか
「うちがどれだけ大変か」は、この3つのどこにも入っていません。
そして、3つのうち1つは、今、シフト表を見れば分かります。 3番目です。そこから始めます。


この記事が答えを持っていないことも、ここで出しておきます。
この記事は、「請求すれば夜勤の日が丸ごと休みになる」とは書けません。 法律が消すのは、午後10時から午前5時までの労務提供義務です。その日の残りをどうするかは、別の話になります(後半で開きます)。
請求できるのは、夜勤をしている本人です。 もしあなたが、夜勤のある人の家族として読んでいるなら、この記事はそのまま本人に渡せる形で書いてあります。
まず、今月のシフト表の「始まる時刻」と「終わる時刻」を見る
結論から書きます。交替勤務なら、「請求できない側」の3番目には当たりません。
理由は後ろに置きます。先に、形で見てください。
二交代・三交代のよくある形で、22時と5時に当ててみる
よくある交替の形を並べます。特定の会社の形ではありません。 あなたの直の時刻を、同じやり方で当ててみてください。
| 直(よくある形) | 午後10時〜午前5時に重なるか | その外に、所定の時間があるか | 3番目(規則61条2号)に当たるか |
|---|---|---|---|
| 二交代の夜勤 20:00〜8:00 | 重なる | ある(20:00〜22:00/5:00〜8:00) | 当たらない |
| 二交代の2直 15:00〜24:00 | 重なる | ある(15:00〜22:00) | 当たらない |
| 三交代の2直 14:00〜22:00 | 重ならない(22:00で終業) | — | — |
| 三交代の3直 22:00〜6:00 | 重なる | ある(5:00〜6:00) | 当たらない |
| 準夜 16:00〜0:30 | 重なる | ある(16:00〜22:00) | 当たらない |
| 深夜 0:00〜8:30 | 重なる | ある(5:00〜8:30) | 当たらない |
| 夜勤専従 22:00〜5:00 | 重なる | ない | 🔴 当たる |
| 夜勤専従 21:00〜6:00 | 重なる | ある(21:00〜22:00/5:00〜6:00) | 当たらない |
私の直も、22時と5時の外に出ていました。
ただ、これで分かったのは3つのうちの1つだけです。残りの2つは、次の章で順番に見ます。
外れるのは、所定の時間が丸ごと22時〜5時に収まる形だけです
表の中で1行だけ「当たる」になっているのは、22:00〜5:00の行です。
所定労働時間が、丸ごと深夜の中に収まっている。この形の人は、請求できない側に入ります。
逆に言うと、22時より前に始まる直も、5時より後に終わる直も、どちらもこの3番目には当たりません。 1分でも外に出ていれば足ります。
時刻の根拠は、条文と通達に書かれています
ここで初めて条文を出します。
請求できない人を決めている施行規則61条は、2つの号でできています。そのうちの2号が、これです。
所定労働時間の全部が深夜にある労働者
——育児・介護休業法施行規則 第61条第2号
「全部が深夜にある」が何を指すのかは、厚生労働省の施行通達が書いています。
則第61条第2号の「全部が深夜にある」とは、所定労働時間のすべてが午後10時から午前5時までの間にあるとの意であること。したがって、例えば、交替制勤務の場合や、所定労働時間の一部に午後10時から午前5時までの間以外の時間帯が含まれている場合は、「全部が深夜にある」には該当しないものであること。
——施行通達 第8の1(18)
「交替制勤務の場合」が、例として名指しで挙がっています。 あなたのシフトの話が、通達の中に書いてあるということです。
ここで言う「所定労働時間」は、法定労働時間のことではありません。
則第61条第2号の「所定労働時間」とは、就業規則等において労働者が労働契約上労働すべき時間として定められた時間の意であり、労働基準法の規定による法定労働時間とは異なるものであること。
——施行通達 第8の1(17)
つまり見るのは、就業規則やシフト表に書いてある、あなたの直の時刻です。
あなたがやること──今月のシフト表を開いて、夜勤の直の「始まる時刻」と「終わる時刻」を、22時と5時に当ててください。どちらかが外に出ていれば、3番目は終わりです。
夜勤免除の条件は、3つの事実だけです
ここが、この記事の芯です。
夜勤を外してもらうのに、「うちがどれだけ大変か」を会社に認めてもらう必要はありません。条文が見ているのは、あなたの家の大変さではなく、3つの事実だけです。
条文を先に置きます。
事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次の各号のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求した場合においては、午後十時から午前五時までの間(以下この条及び第二十条の二において「深夜」という。)において労働させてはならない。
——育児・介護休業法 第19条第1項 本文
読み方を分解します。
- 宛てられている相手=小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者
- 請求できない人=「次の各号のいずれにも該当しないもの」の裏側。一号から三号までの3つ
- 効果=事業主が「労働させてはならない」
努力義務ではありません。「労働させてはならない」。これが義務の書き方です。
ただし、この条文には続きがあります。隠さずに書きます。
ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。
——育児・介護休業法 第19条第1項 ただし書
このただし書は、「1人だけに許可はできない」の章でまとめて扱います。ここで、やっぱり無理なんだ、と閉じないでください。 通達が、両方の向きから中身を書いています。
入口:子が「小学校就学の始期に達するまで」
まず射程を正直に出します。検索でよく打たれるのは「何歳まで」「いつまで」「小学生」ですが、条文の言い方はこうです。
小学校就学の始期に達するまで。 年齢の区切りではなく、小学校に上がる手前までです。
そして、終わり方も条文に書いてあります。
制限終了予定日とされた日の前日までに、第一項の規定による請求に係る子が小学校就学の始期に達したこと。
——育児・介護休業法 第19条第4項第2号
子が小学校に上がったら、その時点で終わります。 だから、小学生でも使えるのかという問いには、この条文では使えませんという答えになります。
ここを後半まで隠しません。小学生のお子さんのことで調べてここに来た方には、19条は届きません。
1つめ:その会社で、引き続き1年以上働いているか
当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
——育児・介護休業法 第19条第1項第1号
1年に満たない人は、請求できない側に入ります。裏返すと、1年以上なら、この1つめは通っています。
2つめ:深夜に子を保育できる16歳以上の同居の家族がいるかいないか
当該請求に係る深夜において、常態として当該子を保育することができる当該子の同居の家族その他の厚生労働省令で定める者がいる場合における当該労働者
——育児・介護休業法 第19条第1項第2号
ここで言う「厚生労働省令で定める者」が、施行規則60条です。
法第十九条第一項第二号の厚生労働省令で定める者は、同項の規定による請求に係る子の十六歳以上の同居の家族(法第二条第五号の家族をいう。)であって、次の各号のいずれにも該当する者とする。
——育児・介護休業法施行規則 第60条 本文
「次の各号のいずれにも該当する者」です。号は3つあります。
法第十九条第一項の深夜(以下「深夜」という。)において就業していない者(深夜における就業日数が一月について三日以下の者を含む。)であること。
——同 第60条第1号負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により請求に係る子を保育することが困難な状態にある者でないこと。
——同 第60条第2号六週間(多胎妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産する予定であるか又は産後八週間を経過しない者でないこと。
——同 第60条第3号
3つ全部に当たる人がいるときだけ、19条1項2号の側(=請求できない側)に入ります。 1つでも外れれば、その人は数に入りません。
交替勤務の家で効きやすいのは1号です。同居の家族の深夜の就業日数が、月に4日以上あるなら、その人は1号に当てはまりません。
数え方も通達に書いてあります。
また、「深夜における就業日数」の計算において、継続勤務が2暦日にわたる場合には、当該勤務は始業時刻の属する日の勤務として、当該「1日」の就業とするものであること。
——施行通達 第8の1(13)
日付をまたぐ夜勤は、終わった日ではなく、始まった日の1日として数えます。 20時に入って翌朝8時に出る直は、1日です。交替勤務の家でしか起きない数え方で、これが通達に載っています。
判断の時点も書かれています。
則第60条第1号の「深夜における就業日数が一月について三日以下の者」に該当するか否かは、原則として請求時点までの1月間の状況等を踏まえて判断するものであること。
——施行通達 第8の1(13)
3つめ:所定の時間が丸ごと深夜に収まっていないか
これは、もう終わっています。最初の章でシフト表を当てたところです。
法第十九条第一項第三号の厚生労働省令で定めるものは、次のとおりとする。
——育児・介護休業法施行規則 第61条 本文
号は2つ。1号が「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」、2号が「所定労働時間の全部が深夜にある労働者」です。
交替勤務なら、2号には当たりません。 通達が例として交替制勤務を挙げています(最初の章で引いたところです)。
性別も、配偶者の職業も、うちの大変さも、どこにも書かれていません
ここが、いちばん言いたいところです。
19条1項と施行規則60条・61条・62条の条文を、全部つないで読んでみると、出てこない言葉があります。
- 性別(女/男/母/父)
- 配偶者(条文の言い方は「同居の家族」です)
- 家庭の事情の重さ(よほどの事情、困窮、やむを得ない、といった言い方)
条文は、あなたの家がどれだけ大変かを聞いていません。 聞いているのは、勤続年数と、深夜に子を保育できる同居の家族がいるかと、所定の時間の置き場所。この3つだけです。
さらに、19条には労使協定で対象から外す仕組みがありません。 所定外労働の制限(16条の8)や短時間勤務(23条1項)には協定の定めがありますが、19条1項にはそれがありません。うちは協定で外してある、という形が、この条文には用意されていないということです。
ここで、よく見る言い方を1つだけ外しておきます。「あなたの状況なら、きっと認められます」とは書きません。それを書いた時点で、また採点の話に戻ってしまうからです。条文は3つしか見ていません。その3つを、自分で確かめればいいだけです。
出回っている言い方を、条文と照らしてみる
検索すると、互いに食い違う説明が出てきます。どれも「どこで間違えたか」が条文で特定できます。
先に書いておきますが、誰かを間違い扱いにするためではありません。 「こう書かれているのを見かける」という形で並べます。会社で言われた話も、どこかで伝わり方が変わっただけ、ということが多いです。
「3歳まで」は、別の制度のほうです
よく見かけるのが、3歳までなら夜勤免除、という言い方です。
夜勤を外す19条は、ずっと「小学校就学の始期に達するまで」です。 「三歳に満たない子」と書いてあるのは、短時間勤務(23条1項)のほうです。
混ざりやすい理由もあります。2025年4月に、残業免除(16条の8)の対象が「三歳に満たない子」から「小学校就学の始期に達するまでの子」に広がりました(令和六年法律第四十二号)。つまり、「3歳」から変わったのは夜勤のほうではなく、残業のほうです。
夜勤の側(19条)は、この改正では変わっていません。
なお、19条の条文そのものは、確かめた範囲(2023年4月施行の版から現行の版まで)では変わっていませんでした。それより前の版は見ていないので、「昔から変わっていない」とは書きません。
「配偶者が夜勤のある職業でないと無理」は、2か所で読み違えています
これも実際に出回っています。間違いの場所は2つです。
- 条文は「配偶者」と書いていません。 19条1項2号は「当該子の同居の家族」、規則60条は「十六歳以上の同居の家族」です。配偶者に限られていません
- 配偶者が夜勤なら使える、夜勤でないと無理——この言い方は、規則60条1号を逆向きに覚えた形です。1号が見ているのは、その人が深夜に就業していない人かどうかです。括弧の中に「深夜における就業日数が一月について三日以下の者を含む。」と続きます(全文はひとつ前の章で引きました)。つまり、同居の家族の深夜の就業が月4日以上なら、その人は数に入らないということを言っているだけです
それに、規則60条は3つの号の「いずれにも該当する者」です。1号だけで決まりません。
根拠は、労働基準法ではありません
「夜勤免除 労働基準法」で調べている人は多いと思います。でも、ここは労働基準法ではありません。
労働基準法の全文を調べると、「深夜業の制限」という言葉も、「小学校就学の始期」という言葉も出てきません。 労働基準法66条3項の深夜業の話は「妊産婦が請求した場合」、67条の育児時間は「生後満一年に達しない生児を育てる女性」です。どちらも射程が違います。
夜勤を外す根拠は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)19条です。 法律の章の見出しが「第八章 深夜業の制限」になっています。
労働基準法で探して見つからなかった人は、探す場所が違っただけです。
上手に言う必要はありません。出す形は、条文に書いてあります
ここが2つめの山です。
「どう言えばいいか」を考えなくていい、という話をします。 請求は、言葉の上手さで決まる手続きになっていません。何を伝えるかが、条文に書いてあります。
伝える事項は6つ。欄だと思ってください
法第十九条第一項の規定による請求は、次に掲げる事項を事業主に通知することによって行わなければならない。
——育児・介護休業法施行規則 第62条第1項 本文
その「次に掲げる事項」が6つです。原文のまま並べます。
一 請求の年月日
——育児・介護休業法施行規則 第62条第1項 各号
二 請求をする労働者の氏名
三 請求に係る子の氏名、生年月日及び前号の労働者との続柄等(請求に係る子が当該請求の際に出生していない場合にあっては、当該請求に係る子を出産する予定である者の氏名、出産予定日及び前号の労働者との続柄。特別養子縁組の請求等の場合にあっては、その事実。)
四 請求に係る制限期間(法第十九条第二項の制限期間をいう。以下この章において同じ。)の初日及び末日とする日
五 請求に係る子が養子である場合にあっては、当該養子縁組の効力が生じた日
六 第六十条の者がいない事実
見てください。理由を書く欄がありません。
どれだけ大変か、なぜ必要か、他に頼れる人がいないこと——それを説明する欄は、1つもない。6番目の「第六十条の者がいない事実」が、いちばん近い欄です。そしてこれは、深夜に子を保育できる16歳以上の同居の家族がいない、という事実を書く欄です。大変さの説明ではありません。
この6番目について、通達がもう一歩書いています。
則第62条第1項第6号の「第六十条の者がいない事実」とは、その旨を記載すれば足りるものであり
——施行通達 第8の2(5)
書けば足ります。 そのうえで同じ通達は、その事実を証明する書類の添付は、事業主からの請求がない限り当然には要求されない、と続けています。
会社が証明書類を求めることはできます(規則62条4項)。ただし、通達はその求め方にも線を引いています。
証明方法について、請求をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものである
——施行通達 第8の2(6)
なお、厚生労働省の就業規則の規定例では、この書面の名前が「育児・介護のための深夜業制限請求書」になっています。
出し方は3つ。ただし条件が付いていないのは1つめだけです
前項の請求及び第五項の通知は、次のいずれかの方法(第二号及び第三号に掲げる場合にあっては、事業主が適当と認める場合に限る。)によって行わなければならない。
——育児・介護休業法施行規則 第62条第2項 本文
方法は3つです。
- 書面を提出する方法
- ファクシミリを利用して送信する方法
- 電子メール等の送信の方法(書面を作成できるものに限られます)
括弧の中が大事です。2つめと3つめは「事業主が適当と認める場合に限る」。つまり、メールやFAXは、会社がそれでよいと認めた場合だけです。
条件が付いていないのは、1つめ(書面)だけ。 だから、紙で出すのがいちばん迷いません。
出すのは、制限開始予定日の1か月前まで
前項の規定による請求は、厚生労働省令で定めるところにより、その期間中は深夜において労働させてはならないこととなる一の期間(一月以上六月以内の期間に限る。第四項において「制限期間」という。)について、その初日(以下この条において「制限開始予定日」という。)及び末日(同項において「制限終了予定日」という。)とする日を明らかにして、制限開始予定日の一月前までにしなければならない。
——育児・介護休業法 第19条第2項
ここから分かることが3つあります。
- 1回の長さは、1月以上6月以内
- いつからいつまでを、自分で決めて書く
- 出すのは、始めたい日の1か月前まで
「1か月前」の数え方まで、通達が書いています。制限開始予定日の属する月の前月の同じ日のことで、前月に同じ日が無ければその月の末日になります。3月1日から始めたいなら2月1日、3月31日からなら2月の末日(通達の例では2月28日)です。
遅れたときのことも、隠さずに書きます。
制限開始予定日の1月前の日よりも後に行われる請求は、本法上事業主がこれに応ずる義務はないものであるが、各事業所において、当該請求を認める制度を設けることは可能であること。
——施行通達 第6の2(4)
遅れたらもう無理、という書き方ではありません。法律上、事業主にこれに応ずる義務はない、という書き方です。 そのうえで、認める制度を会社が設けることはできる、と同じ文に書いてあります。
出す先は、シフトを組んでいる人ではありません
シフトを組んでいたのは班長でした。
交替勤務で働いていると、夜勤のことを相談する相手は、たいてい目の前の人になります。直の並びを作っているのは、その人だからです。
でも、条文を読むと、請求を受け取るのは事業主です。規則62条1項の言い方は「次に掲げる事項を事業主に通知することによって行わなければならない」でした。ただし書の「事業の正常な運営を妨げる場合」を判断するのも、事業主です。
班長に言うな、という話ではありません。 現場の段取りは、現場の人が持っています。
ただ、どう言えば分かってもらえるかで悩んでいた相手と、請求を受け取ることになっている相手が、同じではなかった。それだけです。
言葉の上手さの問題に見えていたものが、出す先の問題だったとしたら、悩む場所が1つ減ります。
「1人だけに許可はできない」「人手が回らない」と言われたら
ここは、いちばん重い節です。
実際にこう言われた人の投稿があります。
職場には伝えましたが誰もその制度をとってる人がおらず、1人だけに許可はできないと言われました。(他の職員の目もあるからと…)
——Yahoo!知恵袋(質問IDq11310383616)。2026年10月21日に原文を再取得して照合
同じ投稿の中に、こうもありました。
この先この職場で働いていきたいのであまり喧嘩のようなことはしたくありません。ただ、納得できません。
——同じ投稿
この2行が、たぶんいちばん近いところです。 揉めたいわけじゃない。でも、納得できない。
「他の人の目」の中身を、現場の側から書きます
1人抜けたときは、誰かが残業で埋めていました。
埋めたのは、私でした。
それから、こういうこともありました。「休むなら、その前に残業をやっていってほしい」という言い方がありました。
「他の職員の目」と言われるとき、そこにあるのは意地や性格の話ではないことが多いです。穴が、誰かの残業になって回ってくる。 その回り方を、班の全員が体で知っている。だから、空気になる。
ここから先が大事です。
その埋め合わせをどうするかは、条文のどこを読んでも、あなたの持ち物になっていません。
そして、この話を「だから遠慮しなくていい」にも、「あなたが請求すると誰かが残業になる」にも使いません。どちらも、本来あなたの側に無いものを、あなたに持たせてしまいます。
代行者の配置の難しさを考えるのは、事業主の側です
ただし書の「事業の正常な運営を妨げる場合」が何を見ているのか。それが通達に書いてあります。
まず、深夜業の制限の節は、別の節へ飛ばしています。
「事業の正常な運営を妨げる場合」の判断方法については、所定外労働の制限の場合と同様であること(第6の1(7)参照)。
——施行通達 第8の1(6)
つまり、以下に引く文は「所定外労働の制限」の節に書かれているものです。 深夜業の制限にも同じ判断方法が当てはまる、と通達の第8が自分で書いているので、ここで使えます。
飛ばされた先が、これです。
「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、当該労働者の所属する事業所を基準として、当該労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代行者の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきものであること。
——施行通達 第6の1(7)
見るものが書き出されています。事業所を基準にして/担当する作業の内容/作業の繁閑/代行者の配置の難易/客観的に判断する。
「代行者の配置の難易」を考慮するのは、事業主です。 あなたが先に用意しておくものとしては、書かれていません。
通達は、両方の向きを同じ場所に書いています
ここは、片方だけ読むと読み違えます。だから両方を並べます。
事業主は、労働者が所定外労働の制限を請求した場合においては、当該労働者が請求どおりに所定外労働の制限を受けることができるように、通常考えられる相当の努力をすべきものであり、単に所定外労働が事業の運営上必要であるとの理由だけでは拒むことは許されないものであること。
——施行通達 第6の1(7)
一方、事業主が通常の配慮をしたとしても代行者を配置する等により事業を運営することが客観的に可能な状況になかったと認められる場合は、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するものであること。
——施行通達 第6の1(7)
読み方をそろえます。
- ✅ 必要だから、だけでは拒めない(通達は、単に事業の運営上必要であるとの理由だけでは拒むことは許されない、と書いています)
- ✅ 事業主には「通常考えられる相当の努力」が求められる
- ⚠️ その一方で、通常の配慮をしても代行者を置けなかったと認められる場合は、ただし書に当たると、同じ通達に書いてある
だから、「人手不足を理由に断るのは違法です」とは書けません。 ただし書がある以上、言い切れません。
でも、人手が足りないから仕方ない、で終わる話でもありません。通達が見ているのは、人が足りているかどうかではなく、通常の配慮をしたかどうかです。
ここから先の見通し(断られたらどうなるか)は、この記事では書きません。実例の集計や裁判例まで確かめられていないからです。書けるのは、通達に何が書いてあるかまでです。
前例がなくても、就業規則に書かれていなくても
夜勤を外してほしいと言った人を見たことがありません。
私が見てきた範囲の話です。見ていないだけで、いなかったとは言えません。請求は事業主への通知なので、同じ班の人が知らないまま成立することもあります。
ただ、ここで1つ重なります。
読者のあなたは、おそらく「前例がない」と言われる側にいます。私は、「前例を見たことがない」側にいました。同じ事実を、職場の反対側から見ているだけです。
前例がないのは、あなたが特別だからではありません。
就業規則を探しましたが、ありませんでした
就業規則は、よく見るようにしています。そのうえで、夜勤免除の条を探しました。
探しましたが、ありませんでした。
私の職場の就業規則には、その条はありませんでした。それで、うちには無い制度なんだな、と思ったら、そこで終わっていたはずです。
でも、条文の側に答えがありました。
法律上、深夜業の制限の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえない
——施行通達 第8の12(1)
就業規則に無くても、請求はできます。 社内の制度として置かれていることは、権利を使うための必須条件になっていない、と通達が書いています。
厚生労働省の規定例にも、逆向きの説明があります。
深夜業を行うことがない事業所では、この条は省略して差し支えありません。
——厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版]」第8条の解説
つまり、就業規則に書かれていないことから、制度が無いことも、会社が隠していることも、出てきません。
会社が置いていないのは違法だ、とも書きません。就業規則に置くことを求めているのは指針で、「〜してはならない」という書き方の義務ではありません。
会社が「請求できない人」を増やすことはできません
同じ規定例の解説に、もう1本あります。
深夜業の制限を請求することができない労働者の範囲をこれより広げることはできません。有期雇用労働者も対象となります。
——厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版]」第8条の解説
請求できない人の範囲は、法律と施行規則で決まっています。 会社がそこに足すことはできない、と厚生労働省の解説が書いています。
有期雇用で働いている人も対象です。
うちの規則では正社員だけ、契約社員は対象外——そういう言い方は、この解説と噛み合いません。ただし、解説は告示や通達ではないので、「違法です」とまでは書きません。
知らせる義務は、2025年10月に始まったばかりです
この制度が知られていない理由の一部は、ここにあるかもしれません。
2025年10月1日から、事業主に知らせる義務が入りました。
事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、三歳に満たない子を養育する労働者に対して、当該労働者が第一項の規定により当該事業主が講じた措置(以下この項及び第七項において「対象措置」という。)のいずれを選択するか判断するために適切なものとして厚生労働省令で定める期間内に、対象措置その他の厚生労働省令で定める事項を知らせるとともに、対象措置に係る申出に係る当該労働者の意向を確認するための面談その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならない。
——育児・介護休業法 第23条の3第5項
知らせる中身に、深夜業の制限が名指しで入っています。
法第十六条の八の規定による所定外労働の制限に関する制度、法第十七条の規定による時間外労働の制限に関する制度及び法第十九条の規定による深夜業の制限に関する制度
——育児・介護休業法施行規則 第75条の9第3号
時期も決まっています。
法第二十三条の三第五項の厚生労働省令で定める期間は、当該労働者の子が一歳十一か月に達する日の翌々日から二歳十一か月に達する日の翌日までの一年間とする。
——育児・介護休業法施行規則 第75条の8
子が1歳11か月から2歳11か月までの1年の間に、知らせて意向を確認する。 これが始まったのが2025年10月です。
つまり「知らなかった」のは、知らせる仕組みのほうが、まだ始まったばかりだからでもあります。
この条そのもの(柔軟な働き方を実現するための措置)の解説は、ここではしません。この記事の主題は19条です。
請求したあと、自分はどうなるのか
ここまで来て、たぶん次に気になるのはこれだと思います。請求したら、自分はどうなるのか。
正直に書きます。ここは、条文で全部決まっていません。
消えるのは、午後10時から午前5時までの労務提供義務だけです
午後10時から午前5時までの間においては、所定労働時間内であるか否かに関わらず、労働者の労務提供義務が消滅することをいうものであること。
——施行通達 第8の1(5)
消えるのは、この時間帯の労務提供義務です。
二交代の夜勤が20:00〜8:00なら、消えるのは22:00〜5:00の部分。20:00〜22:00と5:00〜8:00の部分は、法律の側では消えていません。
だから、「夜勤の日が丸ごと休みになる」とは書けません。 「日勤に移れます」とも書けません。そこは、条文にも通達にも書かれていないところです。
この記事は、本人が請求して、紙を書く話です。会社の側から配置や勤務地を動かされるときの、書いてある範囲の読み方は、別記事にまとめています。
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工場の配置転換で、どこに行くかも何をするかも分からない——その範囲だけは、もう紙か就業規則に書いてあります
工程が減る、別の作業へ移されるかもしれない。どこへ行くのか、何の作業になるのかは誰も言ってくれません。ただ、どこまで動かされうるのかという範囲だけは、入社のときにもらった紙か就業規則に書いてあります。その見る場所を、条文と厚生労働省の資料で確かめました。
続きを見る
「そのあとどうなるか」は、定めて知らせる側に置かれている事項です
では、その日の残りはどうなるのか。その答えは、会社が定めて知らせる側に置かれています。
あらかじめ、労働者の深夜業の制限期間中における待遇(昼間勤務への転換の有無を含む。)に関する事項を定めるとともに、これを労働者に周知させるための措置を講ずるように配慮するものとすること。
——指針 第二の五(二)
その「待遇」の中身も、通達が書いています。
指針第二の五の(二)の「労働者の深夜業の制限期間中における待遇(昼間勤務への転換の有無を含む。)に関する事項」とは、昼間勤務への転換の有無を含め深夜業の制限を受ける労働者の配置、労働時間、賃金等に関する事項の意であること。
——施行通達 第8の12(2)
配置、労働時間、賃金。 あなたが気にしていることが、そのまま並んでいます。
つまり、「請求したら自分はどうなるのか」が分からないのは、あなたが調べ足りないからではありません。 それは、会社があらかじめ定めて知らせるよう配慮する、という置き場所になっている事項です。
ここで言い過ぎないようにします。指針の言い方は「配慮するものとすること」で、19条のような「〜してはならない」型の義務ではありません。だから、周知していない会社は違法だ、とは書きません。定めがあるはずだから見せてもらえる、とも書きません。
手当のことは、別記事にまとめています
夜勤を外すと、深夜の手当はどうなるのか。ここはこの記事では計算しません。
育児・介護休業法と施行規則・通達には、賃金の定めがありません。だから、減るとも減らないとも書けないのが正直なところです。
深夜手当と交替勤務手当の仕組みそのものは、別記事で扱っています。
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深夜手当と交替勤務手当は別物です|どっちが法律の義務で、どっちが会社の裁量か
夜勤に入っているのに、思ったほど給料が増えていない。明細に並ぶ手当は、性格の違うものが混ざっています。どれが法律で決まった義務で、どれが会社の裁量なのか。分けられれば、確かめられます。
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全部の夜勤を外すか、我慢するか、の二択ではありません
最後に、二択を崩すものを1つ。
指針第二の五の(三)の「制度の弾力的な利用」とは、週の特定の曜日や、深夜の特定の時間について深夜業の制限を受けること等の意であること。
——施行通達 第8の12(3)
週の特定の曜日だけ。深夜の特定の時間だけ。 そういう使い方が、通達に書かれています。
指針の側の言い方はこうです。
労働者の子の養育又は家族の介護の状況、労働者の勤務の状況等が様々であることに対応し、制度の弾力的な利用が可能となるように配慮するものとすること。
——指針 第二の五(三)
ここも「配慮するものとすること」です。だから「弾力的に使えます」とは書きません。そういう使い方が通達に書かれている、というところまでです。
それでも、全部か我慢かしか無いと思っていた人には、間が1つあることになります。
夜勤そのものが体にきつい、という話は別記事にまとめています。
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工場の夜勤がきついのは、あなたが弱いからじゃない|厚労省ガイドが認めた「負の連鎖」と、今日から使える対策
夜は頭が働かない、日中は眠れない。この負の連鎖は厚労省のガイドも認めています。弱いからではありません。今日から使える対策まで。
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請求したこと自体を理由に、不利益な扱いはできません
言った瞬間に、正職員では無理だと返されるのではないか。ここに答えます。
禁止されているのは、2つです
事業主は、労働者が第十九条第一項(前条第一項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による請求をし、又は第十九条第一項の規定により当該事業主が当該請求をした労働者について深夜において労働させてはならない場合に当該労働者が深夜において労働しなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
——育児・介護休業法 第20条の2
禁じられている理由は2つです。
- 請求をしたことを理由にすること
- 深夜に働かなかったことを理由にすること
大事なのは1つめです。請求が通ったかどうかとは別に、「請求した」という時点から対象になっています。
外されすぎるのも、不利益のほうに書かれています
不利益な取扱いの例は、指針に「イ」から「ル」まで挙がっています。そのうち、この記事に関わるものが2つあります。
労働者が希望する期間を超えて、その意に反して所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置等又は対象措置を適用すること。
——指針 第十一(二)ヘ
希望した期間を超えて、意に反して適用すること。つまり、もう夜勤には入れない、ずっと日勤扱いにする——そういう形も、不利益の例の側に書かれています。
もう1つがこれです。
就業環境を害すること。
——指針 第十一(二)ル
「言ってはいけないような雰囲気」には、制度の側に名前が付いています
言ってはいけないような雰囲気、と言うのがいちばん近いと思います。
言葉で止められたわけではありません。誰かに何かを言われた場面を見たわけでもありません。ただ、そういう雰囲気がある、という感覚のほうです。
この感覚は、気にしすぎではありません。 制度の側に、ちゃんと名前が付いています。
事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
——育児・介護休業法 第25条第1項
そして、ここで言う「厚生労働省令で定める制度又は措置」の中に、深夜業の制限が名指しで入っています。
法第十九条(法第二十条第一項において準用する場合を含む。)の規定による深夜業の制限の制度
——育児・介護休業法施行規則 第76条第7号
ハラスメント防止措置の対象になる制度の一覧に、深夜業の制限が入っている。 使いにくい空気が起きうることを、制度の側が前提にしているということです。
うちの会社は違法な職場だ、という話ではありません。あなたの見積もりが外れていない、という確認です。
外に相談したこと自体を理由にした不利益も、禁じられています
社内で解決しないとき、外に相談する道があります。
都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
——育児・介護休業法 第52条の4第1項
そして、同じ条の2項が、25条2項を準用しています。準用なので、ここでいう「相談」は、都道府県労働局長に援助を求めたこととして読みます。
事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
——育児・介護休業法 第25条第2項(52条の4第2項により準用)
相談したこと自体を理由にした不利益も、禁じられています。
社内の筋道も、条文にあります。苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関に委ねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない(52条の2)。これは努力義務なので、どの会社にも機関があるとは書きません。
ただし「請求すれば何をされても違法」ではありません
ここも隠しません。指針には、不利益な取扱いに当たらないと考えられる場合も書かれています。 挙がっているのは育児休業・介護休業をしている人の雇止めや、休業・休暇で現に働かなかった時間の賃金についての例で、深夜業の制限そのものを対象にした例はありません。それでも、20条の2が禁じているのは、請求をしたことや、深夜に働かなかったことを理由にする場合だという線は、ここで確かめておきます。
だから、請求したから守られることと、何があっても守られることは、別の話です。
同じように言い出しにくい話は、有給のほうでも書いています(根拠の条文は別です)。
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有給が言い出せないとき|「年5日」は会社の義務でもあります
休むと残った人が大変になる。その心配は気のせいではありません。そのうえで、年5日の取得は会社側の義務でもあります。
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それでも「請求できない側」だったときに、残っている道
ここで、分けます。
① 3つを通った人
やることは、もう決まっています。
- 期間を決める(1月以上6月以内。初日と末日を自分で書く)
- 6つの事項を埋める(規則62条1項。理由を書く欄はありません)
- 書面で、事業主へ出す(制限開始予定日の1か月前まで)
この分岐の人に、辞める話は要りません。 だから、ここには求人も何も置きません。
もしそれでも迷うなら、辞めるほうの話は別記事にまとめてあります。辞める選択が間違っているとは書きません。
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② 3つのどれかで外れた人、ただし書で断られた人
外れ方は、だいたい3つです。
- 勤続1年に届いていない(19条1項1号)。→ 1年を超えたら、同じ3つを確かめ直せます
- 深夜に子を保育できる16歳以上の同居の家族がいる(19条1項2号+規則60条)。→ 規則60条は3つの号の「いずれにも該当する者」です。1号(深夜の就業が月3日以下か)、2号、3号を順に当ててみてください
- 所定労働時間が丸ごと深夜に収まっている(規則61条2号)。→ 最初の章の表でいう、22:00〜5:00の行です
そして、3つを通ったのに、ただし書で断られた人。
ここは正直に書きます。この記事は、断られたあとにどうなるかの見通しを持っていません。 書けるのは、次の3つまでです。通達が見ているのは、通常の配慮をしたかどうか。相談窓口は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)。そして、相談したこと自体を理由にした不利益が禁じられていること——ここまでです。
そのうえで、所定の時間が丸ごと深夜に収まっている働き方の人には、条文の側に道が残っていません。 19条では外せません。
その場合に残っているのは、夜勤のない職場がどうなっているかを、いま見ておくことだと思います。今すぐ決めるためではありません。相場を知らないまま、ここしかないと思い込んでいる状態を、やめるためです。
都合の悪いほうも、先に出します。
- 募集の雇い主はワールドインテックになるものが中心で、契約社員の枠も混ざっています。 そして日勤だけの直かどうかは、1件ごとに違います。「夜勤がない求人の一覧」ではありません
- 採用のうち正社員の枠がおよそ半分で、入社前の研修の期間にも給与が出る——という説明が、公式サイトに置かれています
- 利用する側の費用については、公式サイトに記載を見つけられませんでした
合うのは、いまの会社の勤務の形しか知らない人。 合わないのは、3つの確かめがまだ終わっていない人です。その人は①のほうが先です。
このままでは体が持ちません、とは書きません。あなたは、まだ何も失っていません。
今夜できること、ひとつだけ
誰にも言わずに、今夜のうちに終わることを1つ置きます。
やること──今月のシフト表を開いて、夜勤の直の「始まる時刻」と「終わる時刻」を、22時と5時に当ててください。
それだけです。10秒で終わります。
その2つの時刻の外に、所定の時間が1分でもあれば、あなたは「請求できない側」の3つめには当たりません。
- 20時に始まるなら → 22時より前。外に出ています
- 6時に終わるなら → 5時より後。外に出ています
- 22時に始まって5時に終わるなら → 丸ごと中に収まっています
当ててみたら、外に出ていました。私の場合もそうでした。
ただ、これで分かるのは3つのうちの1つだけです。それでも、今夜のうちに手元に1つ残ります。
制度を知っておきましょう、とは書きません。私も、知らなかったので。就業規則も、探して見つかりませんでした。
今夜のところは、時計で確かめるだけで足ります。
まとめ:条文は、あなたの家の大変さを聞いていません
- 夜勤を外してもらうのに、「うちがどれだけ大変か」を会社に認めてもらう必要はありません。 条文が見ているのは3つの事実だけです
- 1つめ=その会社で引き続き1年以上。2つめ=深夜に子を保育できる16歳以上の同居の家族がいないこと。3つめ=所定労働時間が丸ごと午後10時〜午前5時に収まっていないこと
- 3つめは、今、シフト表を見れば分かります。 交替勤務なら、通達が例として交替制勤務を名指しで挙げています(第8の1(18))
- 性別も、配偶者の職業も、家庭の事情の重さも、19条1項と規則60条・61条・62条のどこにも書かれていません
- 上手に言う必要はありません。 伝える事項は6つ(規則62条1項)で、理由を書く欄はありません。条件が付いていない出し方は書面だけ。出すのは1か月前まで
- 請求を受け取るのは事業主です。 シフトを組んでいる人と、同じではありません
- 就業規則に書かれていなくても、前例がなくても、請求はできます(通達 第8の12(1))。有期雇用の人も対象です(厚生労働省の規定例の解説)
- 消えるのは、午後10時から午前5時までの労務提供義務だけ。 日勤に移れることが保証されているわけではありません。そのあとの待遇は、会社が定めて知らせるよう配慮する側に置かれた事項です
- 請求したこと自体を理由にした不利益は禁じられています(20条の2)。外されすぎるのも、不利益の例の側にあります(指針 第十一(二)ヘ)
- ただし書(「事業の正常な運営を妨げる場合」)はあります。 だから、人手不足なら違法だとは書けません。通達が見ているのは、通常の配慮をしたかどうかです
- 今夜できることは、1つだけ。 シフト表の始まる時刻と終わる時刻を、22時と5時に当てる
辞めるか我慢するかの二択に見えていたなら、その間に、手続きが1つあります。 頼み込む話ではありませんでした。
よくある質問
Q1. 何歳までですか。小学生でも使えますか。
小学校就学の始期に達するまでです。 年齢の区切りではなく、小学校に上がる手前まで。子が小学校就学の始期に達した時点で終わります(19条4項2号)。
小学生のお子さんのことなら、19条は届きません。 ここは正直にお伝えします。
「3歳まで」と書かれているのを見かけますが、それは短時間勤務(23条1項)のほうです。2025年4月に3歳未満から就学前に広がったのは、残業免除(16条の8)です。
Q2. 性別は関係ありますか。
19条1項と施行規則60条の条文には、性別を問う言葉がありません。 「女」「男」「母」「父」「性別」「配偶者」といった語が出てきません。条文の言い方は「子を養育する労働者」と「同居の家族」です。
Q3. 申請書の書き方は決まっていますか。
書式は決まっていませんが、伝える事項が6つ決まっています(規則62条1項)。請求の年月日/氏名/子の氏名・生年月日・続柄等/制限期間の初日と末日/子が養子の場合の縁組の効力が生じた日/第60条の者がいない事実。
理由を書く欄はありません。 出し方は書面・FAX・電子メール等の3つですが、後ろ2つは事業主が適当と認める場合に限ります(規則62条2項)。
厚生労働省の規定例では、書面の名前が「育児・介護のための深夜業制限請求書」になっています。
Q4. 何回まで出せますか。
1回の請求は、1月以上6月以内です(19条2項)。
回数の上限は、法律・施行規則・通達のどこにも書かれていませんでした。 厚生労働省の規定例に「1回につき、1か月以上6か月以内の期間について」という言い方があるので、複数回を想定した書き方にはなっています。
ただし「何回でも出せます」とは書きません。確かめられたのは、上限の記述が見つからなかった、というところまでです。
なお、期間の途中で一時的に深夜に働いたとしても、それだけで制限が終わるわけではない、と通達に書かれています(第8の4(2)ロ。当初の制限期間の範囲内で再開できる、という趣旨です)。
Q5. 相談するなら、どこですか。
厚生労働省が育児・介護休業法の問い合わせ先として案内しているのは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。 厚生労働省のパンフレットには、受付時間も書かれています。
受付時間8時30分~17時15分(土・日・祝日・年末年始を除く)
——厚生労働省パンフレット№3
条文の側では、都道府県労働局長が紛争の解決について助言・指導・勧告をすることができる、となっています(52条の4第1項)。
労働基準監督署では扱わない、とも書きません。あらゆる分野の労働問題を対象とする総合労働相談コーナーは、労働基準監督署の中にも置かれています。そこに行った人が間違っていたわけではありません。
Q6. 派遣で働いている場合は?
この記事は、派遣で働いている場合を扱っていません。
雇い主がどこになるかで、確かめる順番そのものが変わります。そこは別に整理が必要なので、ここでは踏み込みません。
出典
法令・施行規則
・育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)第16条の8・第19条・第20条の2・第23条・第23条の3・第25条・第52条の2・第52条の4|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000076
・育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)第60条・第61条・第62条・第75条の8・第75条の9・第76条|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/403M50002000025
・労働基準法(昭和22年法律第49号)第66条・第67条|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
通達・告示・行政資料
・育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について(令和7年1月20日 職発0120第2号・雇均発0120第1号)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001378914.pdf
・子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針(平成21年厚生労働省告示第509号)改正後全文(令和7年10月1日)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001403435.pdf
・育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版](令和7年4月1日、10月1日施行対応版)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000685056.pdf
・令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和7年9月24日時点)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001567572.pdf
・育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説(都道府県労働局雇用環境・均等部(室)・令和7年2月作成 パンフレット№3)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001407488.pdf
・育児・介護休業法について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
そのほか
・Yahoo!知恵袋(質問ID q11310383616)※引用した2か所は2026年10月21日に原文を再取得して照合しました
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11310383616
・工場求人ワールド「はじめての方へ」|株式会社ワールドインテック
https://koujoukyujin.world/introduction/
※法令・告示・通達は改正されることがあります。読んだ時点の最新のものをご確認ください。
※通達・指針・規定例・パンフレットの引用は、上記PDFの原文から写しています。通達の本文は全角と半角の数字が混在しているため、本文中では空白を詰めた形で表記しました。
※リンクを付した資料のURLは、2026年10月18日に閲覧して確認したものです(労働基準法・工場求人ワールド・知恵袋の3件は2026年10月21日)。