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先に結論からお伝えします。
記録を書くのは、何かあったときに「疑わしい範囲」を広げないためです。
この記事でいちばん伝えたいこと
記録があれば、問題が出たときに「このロットだけ」で止められます。
記録がなければ、どこから怪しいのか分からないので、全部が疑わしくなります。
つまりあの紙は、会社のためでも監査のためでもなく、自分が作った物と、自分の仕事を守るためのものなんです。
はじめまして、アヴァンです。電子部品・コネクタ系の工場で、今も現場に立っている一人です。
私も最初はまったく分かっていませんでした。ただの作業だと思っていました。
でも、工場のしくみが少し分かってきたら、書くときに見るところが変わりました。その話をします。
まず結論:記録は「疑わしい範囲」を狭めるために書く
もう一度、大事なところだけ。
記録の目的は、あとから「どこまで戻ればいいか」を決められるようにすることです。
たとえば、出荷した製品に不具合が見つかったとします。
そのとき会社が最初にやるのは、犯人探しではありません。「どこまで広がっているか」を確定させることです。
- いつ作った分から怪しいのか
- どの材料を使った分なのか
- どの設備で、誰が作業した分なのか
ここが記録で追えれば、「この日のこのロットだけ」で止められます。
追えなければ、どうなるか。分からない期間は全部、疑わしい扱いになります。
回収する範囲が広がり、止まるラインが増え、確認する人手が要る。そして、その確認をやるのは現場です。
記録が雑だと、あとで自分たちの首が絞まる。これが一番の理由でした。
「品質のため」だと、正直ピンと来ない
よく「記録は品質のために書くもの」と言われますよね。
でも、それを言われて「よし書こう」となる人、あんまりいないと思うんです。私はなりませんでした。
品質って、大きすぎて自分ごとにならないんですよね。そうじゃなくて、こう考えると急に近くなります。
何かあったとき、記録がない期間は「やったかどうか分からない」ことになる。
やってたんですよ。ちゃんと見てた。でも書いてなければ、それは残らない。
逆に言えば、書いてあれば「手順どおりやった」と示せるということです。
「異常なし」に印をつける作業になっていませんか
ここで、正直な話をします。
記録が形だけになるの、私はよく分かります。あなたが悪いわけじゃないと思っています。
だいたい、こういう順番で形だけになっていきます。
- 新人のときに教わるのは「ここにこう書いて」という手順だけ。なぜ書くのかは、たいてい説明されません。聞ける空気でもないですし、聞いても「決まりだから」と返ってくることもある。
- 実際、ほとんどの日は異常なしなんです。何十日も続けば、見る前に手が動くようになります。これは意志が弱いんじゃなくて、人間の仕組みです。
- 「ちょっと気になる音がする」と書いた。でも何も起きなかった。次に書いたときも、何も起きなかった。そうなると、書く意味を感じられなくなります。当然だと思います。
だから「意識が低い」みたいな話ではないんです。意味が渡されていないだけ。
なので、ここから先はその意味の話をします。
法律は「記録しろ」ではなく「何を記録するか」まで決めている
意外に思われるかもしれませんが、現場の記録には、法律で中身まで決められているものがあります。
分かりやすいのがフォークリフトです。私はフォークリフトの資格を持っているので、この話は身をもって知っています。
労働安全衛生規則という法律に、こう書いてあります。
事業者は、前二条の自主検査を行つたときは、次の事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。
労働安全衛生規則 第151条の23
一 検査年月日
二 検査方法
三 検査箇所
四 検査の結果
五 検査を実施した者の氏名
六 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
注目してほしいのは、「記録しろ」で終わっていないことです。
何を書くか、6つまで指定されています。そして3年間保存しろとまで書いてある。
これ、なぜだと思いますか。
項目が決まっている理由
後から、書いた本人以外の誰かが読む前提だからです。
その場の自分が分かればいい紙なら、項目を決める必要はありません。
項目が決まっているのは、3年後に、事情を知らない人が読んでも状況が再現できるようにするためなんです。
五号「検査を実施した者の氏名」は、責任ではなく証明
記録に名前を書く欄、ありますよね。
あれ、正直ちょっと嫌じゃないですか。何かあったら自分の名前が残るわけですから。私も昔はそう思っていました。でも、逆だと気づきました。
名前が書いてあるということは、「この人がこの日、これを確認した」という事実が残っているということです。
トラブルが起きたときに一番困るのは、誰もやっていないのか、やったけど書いていないのかが分からない状態です。
記録がなければ、区別がつきません。やっていたとしても、証明できません。
名前は、責任を押し付けるためではなく、あなたが仕事をした証拠として残るものでもあります。そう思えるようになってから、私は書くのが少し楽になりました。
※ちなみに、教育の記録も同じように保存が決まっています。特別教育を行ったときは、受講者や科目などの記録を作成して3年間保存する、と定められています(労働安全衛生規則 第38条)。「あの教育、受けたはずなのに」と言えるのは、記録があるからです。
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工場で「やったことないです」が言えない ― YESマンが一番損をする理由
やったことのない作業を頼まれて、つい「はい」と言ってしまう。その一言が、本来受けられるはずの教育を消していることがあります。
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月に1回見るのは、実は3つだけ
「全部きちんと見ろ」と言われても、正直きついですよね。時間もありますし。
でも、ここも法律が助けてくれています。見るべき項目が絞ってあるんです。
月に1回の検査は、3項目だけ
フォークリフトの場合、月次の検査で見るのはこれだけです。
月次の自主検査(安衛則151条の22)
・制動装置、クラッチ及び操縦装置の異常の有無
・荷役装置及び油圧装置の異常の有無
・ヘッドガード及びバックレストの異常の有無
※1月を超える期間使用しないものを除く
3つです。
ブレーキまわり、荷を扱うところ、そして頭を守るところ。
言われてみれば、壊れたときに人が大けがをするところばかりだと思いませんか。
止まらない、荷が落ちる、頭が守られない。この3つは、事故になったときの結果が重いんです。
だから月に1回は必ず見ろ、と絞ってある。なんとなく全部見るより、この3つを本気で見るほうが意味があるということですね。
年に1回は、もっと細かく
年次の検査になると、項目は9つに増えます。
原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、荷役装置、油圧装置、電気系統、そして車体やヘッドガード・警報装置・灯火装置など(労働安全衛生規則 第151条の21)。
こちらは分解や測定が必要なものも多いので、専門の業者さんが入ることが多いです。
大事なのは、月次と年次で見る深さが違うということ。月次は「毎日使う人が気づけるところ」、年次は「専門的に見ないと分からないところ」に分かれています。
自分がやるのは前者です。そう分かると、「自分にしか気づけないことがある」という話になってきます。
毎日乗っている人だから分かる、いつもと違う音、いつもと違う効き方。あれは記録する価値があります。
ここは職場ごとに違います
ここで挙げた項目と年数は、フォークリフトの定期自主検査の話です。
設備や業種によって、検査の頻度も保存年数も違います。自分の職場で何がどう決まっているかは、必ず職場のルールで確認してください。
※その「記録」の代表格が、不良が出たときに書かされる是正処置報告書です。何度も差し戻される理由は、実は文章力ではありませんでした。
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是正処置報告書が差し戻される本当の理由|原因の主語を変える
何度も差し戻される。原因は文章力ではなく、原因欄の主語でした。明日の朝いちばんに直す一文まで書いています。
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なぜ3年より昔の記録まで残っているのか
ここで、ひとつ疑問が出てくると思います。
法律の保存期間は3年。なのに、会社によっては10年前の記録を後生大事に保管していることがありますよね。
倉庫の奥に段ボールで積まれているアレです。なんであんな昔のものを、と思っていました。理由は、別の法律にありました。
製造物責任法(PL法)は、引き渡しから10年
製造物責任法という法律があります。作った物の欠陥で誰かがけがをしたり財産に損害が出たりしたとき、作った側が賠償の責任を負う、という法律です。
第三条に規定する損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
製造物責任法 第5条第1項
一 被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行使しないとき。
二 その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したとき。
引き渡してから10年。
さらに、生命や身体を侵害した場合は、一号の「三年間」が「五年間」に読み替えられます(同条第2項)。
つまり、出荷した製品について、10年間は話が出てくる可能性があるということです。
だから会社は、安全衛生の3年とは別に、製品の記録を長く持っている。段ボールの正体はこれでした。
ただし、記録があれば責任を免れるという話ではありません
ここは正確に書きます
記録があれば訴えられない、責任を問われない、ということではありません。そんな単純な話ではないです。
ただ、何かあったときに「その時点で決められた手順どおりに作業し、確認していた」という事実を示す材料にはなり得ます。
材料が何もない状態と、材料がある状態。どちらがいいかという話です。
そして、その材料を作っているのは、日々あの紙に記入している現場の人間なんですよね。
工場のしくみが分かると、書く意味が見えてくる
もう少しだけ、視野を広げる話をします。ISOの話です。
「ISO」と聞くと、監査の前だけバタバタする面倒なやつ、という印象があるかもしれません。私もそうでした。
でも、あの考え方が分かると、現場のいろんな決まりごとが「そういうことか」と繋がります。
実は2015年に、「記録」という言葉が規格から消えました
面白い話があります。
品質マネジメントの規格であるISO 9001は2015年に改訂されたのですが、そのとき用語が整理されました。日本規格協会が公開している国内委員会の参考訳には、変更点としてこう書かれています。
文書及び記録という用語は、文書化した情報という用語に置き換わっている。
ISO/TC 176/SC 2/N1282 品質マネジメントシステム規格国内委員会 参考訳「ISO 9001:2008から ISO 9001:2015 変更の概要」
「文書」と「記録」が、「文書化した情報」というひとつの言葉にまとめられたわけです。
とはいえ、実務ではこの2つを区別して考えたほうが分かりやすいです。
| 呼び方 | 中身 | 具体例 |
| 文書 | これからやることを決めた紙 | 手順書、作業標準、ルール |
| 記録 | やった結果を残した紙 | チェックシート、検査成績書、点検表 |
手順書は「これからどうするか」。記録は「実際にどうだったか」。
あなたが毎日書いているのは後者です。未来を決める紙ではなく、事実を残す紙。だから、きれいに書くことより、実際に見たことを書くほうが大事なんです。
現場の「なんで?」は、だいたいどこかの項目に対応している
ISO 9001には項目に番号がついていて、現場の決まりごとの多くはそのどれかに繋がっています。
(※規格そのものは購入して読むものなので、ここでは中身を引き写さず、項目の名前とざっくりした考え方だけ紹介します)
| 現場の「なんで?」 | 対応する項目 |
| なんでロット番号や識別を書くの? | 8.5.2 識別及びトレーサビリティ |
| なんで検査でOKを出さないと次に流せないの? | 8.6 製品及びサービスのリリース |
| なんで不良品に札をつけて隔離するの? | 8.7 不適合なアウトプットの管理 |
| なんで同じ不具合の対策書を毎回書かされるの? | 10.2 不適合及び是正処置 |
| なんで記録の様式や保管場所が決まってるの? | 7.5 文書化した情報 |
(項目の構成は、前述の日本規格協会の参考訳で確認できます)
ここで一番、記録と直結しているのが8.5.2の「識別及びトレーサビリティ」です。
トレーサビリティというのは、ざっくり言えば「その製品がどういう材料で、どこを通って、どうやってできたかを追えるようにしておく」という考え方です。
さっき書いた「疑わしい範囲を狭める」の正体が、これでした。
ロット番号を書くのも、日付を書くのも、名前を書くのも、全部この"追えるようにする"ためにやっているんです。
そう分かると、記入欄が何のためにあるのか、少し見え方が変わってきませんか。
明日からできる3つのこと
理屈だけ分かっても仕方ないので、具体的に3つだけ。
① 「異常なし」と書く前に、1つだけ実物を見る
全部を毎回きちんと見るのは、正直しんどいです。時間もない。
なので、1つだけでいいので、印をつける前に実物を見てください。
月次の検査なら、見るのは3つだけでした(ブレーキまわり、荷役・油圧、ヘッドガード)。そのうちのどれか1つ。今日はブレーキ、明日は荷役、というふうに回してもいい。
ゼロと1は全然違います。1つ見る癖がつくと、そのうち「あれ、いつもと違うな」に気づけるようになります。
② 「異常あり」で終わらせず、どうしたかまで書く
さっきの条文をもう一度見てください。6つ目にこう書いてありました。
安衛則151条の23 六号
検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
つまり、異常を見つけたことだけでなく、それをどうしたかまで書いて、記録は完成するということです。
これ、地味ですが効きます。
「異常あり」だけだと、読んだ人は「で、どうなったの?」となります。誰かに聞いて回ることになる。そこで話が止まります。
「異常あり/班長へ報告済み/◯日に部品交換」まで書いてあれば、そこで完結します。
報告しても何も変わらない、を減らす一番現実的な方法が、これだと思っています。誰が見ても次の動きが分かる形にしておく。
なお、異常を見つけた"その場"でどう動くか迷ったときは、別記事で「止める・呼ぶ・待つ」の話を書いています。あわせて読んでみてください。
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「止める・呼ぶ・待つ」と教わったのに、待っていたら怒られた ― 工場で迷ったときの判断の基準
止めて・呼んで・待てと教わったのに、待っていたら怒られた。あの板挟みで迷ったとき、何を基準に動けばいいのかを整理しました。
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③ 名前の欄は、責任ではなく証明だと思う
繰り返しになりますが、ここが一番、気持ちが変わるところでした。
名前を書くのは、失敗したときに責められるためではありません。
あなたがその日、その作業をやったという事実を残すためです。
何も残っていなければ、やったことも消えます。褒められることはないかもしれませんが、守ってくれることはあります。
意味が分かると、覚えられる
最後に、ひとつだけ。
記録の書き方が頭に入らない、手順を覚えられない。そう感じている人がいたら、それは記憶力の問題ではないかもしれません。
意味が分からないものは、そもそも頭に残りにくいです。
「ここに数字を書く」だけだと覚えられなくても、「ここに書いた数字が、あとで範囲を絞るときに使われる」と分かっていれば、書き忘れに気づけます。
だから、分からないことは聞いていいんです。「これ何のために書いてるんですか」と。
その質問、実はけっこう歓迎されます。意味を聞いてくる人は、意味を分かって書こうとしている人だからです。
聞き直すのが怖い、という人は、こちらの記事も読んでみてください。
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「前も言ったよね」が怖くて、もう聞き直せない。でも教える側が見ているのは、前回の3〜5割が残っているかどうかだけでした。
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そしてもし、「知識が足りないから意味が分からないんだ」と感じているなら、体系的に学んでみるのも一つの手です。
現場に関わる国家資格(危険物、電気工事士、ボイラー、衛生管理者など)の勉強では、「なぜこの決まりがあるのか」を制度の側から順番に学びます。この記事で書いた「保存年数が決まっている理由」のような話が、体系立てて出てきます。
※もちろん、資格を取れば必ず評価が上がるという話ではありません。ただ、決まりごとの背景を知ると現場の見え方が変わる、というのはあると思います。
それでも、報告が届かない職場なら
ここまで「意味が分かれば変わる」という話をしてきました。ただ、正直に書いておきたいことがあります。
書いても、報告しても、何も動かない職場というのは、残念ながらあります。
異常を書いても放置される。設備が直らない。それどころか「余計なことを書くな」と言われる。
そういう状態が続いているなら、それはあなたの書き方の問題ではありません。
記録を大事にしない職場は、何かあったときに現場の人間が矢面に立たされやすいとも言えます。記録が残っていなければ、守ってくれるものがないからです。
今すぐ動かなくてもいいですが、外の職場がどうなっているかを知っておくだけでも、気持ちの余裕は変わります。世の中には、記録の意味をちゃんと教えてくれる職場もあります。
よくある質問
見ていないのに「異常なし」と書いてしまったことがあります。まずいですか?
正直に言うと、望ましくはないです。でも、ここで大事なのは過去よりこれからです。記録は、これから書く分から変えられます。前の紙を気に病むより、次の1回で1つだけ実物を見るほうが、実際の安全にはずっと効きます。そして、もし今まさに「異常があるかもしれない」と思う心当たりがあるなら、それは書き直しの話ではなく報告の話です。早いほど軽く済みます。
記録の書き方が職場で統一されていません。自己流でいいですか?
自己流にはしないほうがいいです。記録は「後から他人が読む」ためのものなので、書き方がバラバラだと、いざというときに読めません。とはいえ、決まっていないものを一人で決めるのも違います。「これはどう書くのが正解ですか」と一度確認しておくのが現実的です。確認したこと自体も、あなたを守ります。
保存年数は、どの記録も3年ですか?
いいえ、違います。この記事で挙げた3年は、フォークリフトなどの定期自主検査の記録(労働安全衛生規則)の話です。対象や業種によって年数は変わりますし、法律の保存義務とは別に、会社が独自にもっと長く保管していることもあります(製造物責任法の10年を意識しているケースなど)。自分の職場のルールを確認してください。
手書きじゃないとダメですか?タブレットで入力しています。
紙か電子かは本質ではありません。大事なのは、いつ・誰が・何を確認して・どうだったかが後から追えることです。電子のほうが、日時や入力者が自動で残るぶん、追いやすいことも多いです。ただ、「実物を見ずに前の値をコピーできてしまう」のは電子のほうが起きやすいので、そこだけは気をつけたいところです。
異常を書いたら、自分の作業が悪かったと思われませんか?
その不安、よく分かります。ただ、設備の異常と、作業者の失敗は別のものです。そして、書かずに進めて後から発覚するほうが、はるかに大きな話になります。早い段階の「気になる」は、単なる情報です。それを情報として扱えない職場のほうに問題があります。
「記録は未来の自分のために取る」という話は、検査記録だけではありません。騒音のある職場では、毎年の聴力検査の結果がそれにあたります。
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工場の騒音で耳鳴りが残る|耳栓を外してしまうのは、あなたの甘えではありません
工場の騒音がつらい。耳栓はあるけれど、着けると人の話が聞こえないから外してしまう——それは甘えではなく、国のガイドラインが名指しで想定している問題です。遮音値の選び方から確かめます。
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まとめ:あの紙は、自分を守るために書いている
最後に、この記事の要点だけ。
この記事のまとめ
・記録を書くのは、何かあったときに「疑わしい範囲」を広げないため。記録があれば「このロットだけ」、なければ「全部が怪しい」
・法律は「記録しろ」ではなく「何を記録するか」まで決めている(安衛則151条の23=6項目・3年保存)
・月次で見るのは3つだけ。法律が「これだけは見ろ」と絞ってくれている
・会社が10年前の記録を持っているのは、製造物責任法の期間(引き渡しから10年)があるから
・名前の欄は責任ではなく証明。書いてあれば「手順どおりやった」と示せる
・明日からは、印をつける前に1つだけ実物を見る。ゼロと1は全然違う


「異常なし」と書くその紙は、面倒な作業に見えるかもしれません。
でも、あれはあなたが今日ちゃんと仕事をしたという記録でもあります。
意味が分かると、少しだけ、書くのが嫌じゃなくなりますよ。
この記事の出典
・e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第151条の21・第151条の22・第151条の23・第38条
・e-Gov法令検索「製造物責任法」第3条・第5条
・日本規格協会 ISO/TC 176/SC 2/N1282 品質マネジメントシステム規格国内委員会 参考訳「ISO 9001:2008から ISO 9001:2015 変更の概要」
※ISO 9001の規格本文は引用せず、項目名と一般的な考え方のみを紹介しています。規格の内容を正確に確認したい場合は、日本規格協会などで規格そのものをご覧ください。