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ミスをして、「なぜなぜ分析を出して」と言われた。
1回目の「なぜ」は書けた。「確認作業を怠っていた」。
その次で、手が止まる。
「なぜ怠ったのか」。
……忙しかったからです。確認している暇が、本当になかったんです。
でも、それを書いていいんでしょうか。言い訳だと思われないでしょうか。
先に結論から言います。
この記事の結論
「忙しくて確認する暇がなかった」は、書いていいです。むしろ、立派な原因です。
ただし、そのままの言葉では通りません。「忙しかった」という"感想"を、"工程の事実"に置き換える必要がある。それだけの話なんです。
正直に書いておくと、これは私が実際に止まった場所です。梱包工程で、製品が正しい数量で入っていなかった。1行目に「確認作業を怠っていた」と書いて、その次で完全に固まりました。
この記事では、なぜ「確認不足」で止まってしまうのかと、止まりやすい言葉6つを、そのまま書き写せる一文に変える方法をまとめます。
まず結論:止まるのは、あなたの掘り方が浅いからじゃない
なぜなぜ分析が途中で止まる。掘れば掘るほど、自分を責める文章になっていく。
これ、能力の問題でも、反省が足りないからでもないと思っています。
「なぜ」の主語が、「私」のままだからです。
人に向かって「なぜ?」と聞けば、返ってくるのは人の答えです。「気をつけていなかったから」「意識が低かったから」。つまり謝罪と反省しか出てこない。問いの形そのものが、犯人捜しの方向に誘導してしまっているんですね。
だから、掘っても掘っても反省文になる。これは掘り方が下手なのではなく、掘っている方向が最初からそっちを向いているだけです。
主語を「私」から「工程・設備・検査」に変える。すると、出てくる言葉が変わります。
なお、報告書という書類全体の書き方(5項目の型、差し戻される7つのパターン、発生原因と流出原因の分け方)は、姉妹記事にまとめました。この記事は「なぜ欄」の中身1か所に集中します。
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是正処置報告書が差し戻される本当の理由|原因の主語を変える
何度も差し戻される。原因は文章力ではなく、原因欄の主語でした。明日の朝いちばんに直す一文まで書いています。
続きを見る
「怠っていた」と書いた瞬間、その先が出なくなる
私が書いた1行目は、「確認作業を怠っていた」でした。
いま思うと、この一文が全部の原因でした。
「怠った」と書いた時点で、次に出てくる問いは「なぜ怠ったのか」しかない。そして、その答えとして許されそうな言葉が、自分の中に見つからないんです。
「忙しかった」は言い訳っぽい。「面倒だった」は論外。「気が緩んでいた」と書けば通るかもしれないけど、それを書いたら次は「なぜ気が緩んだのか」で、もう反省文の入り口です。
どれを書いても、自分がダメだった話にしかならない。だから手が止まる。
そもそも「なぜなぜ分析とは何か」を知らないまま書いていた
正直に書いておくと、私はこのとき、なぜなぜ分析が何なのかを分かっていませんでした。
何のためにやるのか。どこがゴールなのか。どう書けたら「できている」ことになるのか。一度も説明を受けないまま、用紙だけ渡されて書いていたんです。
そこへ、上司や先輩から言われたのが、こういうことでした。
- 「発生原因と流出原因を分けて考えること」
- 「なぜなぜの最終地点まで、真に深掘りすること」
今なら分かりますが、これは内容としては、まったく正しいです。品質の考え方としても、きちんと筋が通っています。
ただ、「なぜなぜ分析とは何か」を知らない人間には、この言葉だけでは動けなかったんですよね。
「最終地点」がどこなのか分からないのに、「最終地点まで掘れ」と言われている状態なので。
だから、悪い人は誰もいないんです。上司の言っていることは正しいし、私もサボっていたわけじゃない。ただ、入口の説明が抜けたまま、出口だけ求められていた。
これはあなたの理解力の問題でもないと思います。私も同じところにいました。
「忙しくて確認する暇がなかった」は、書いていい
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。
多くの人が止まるのは、掘り方が分からないからじゃなくて、「本当のことを書いたら、言い訳に見えるんじゃないか」という怖さのせいだと思っています。
私がそうでした。忙しかったのは事実なのに、それを書く勇気がなかった。
でも、これは考え方が逆でした。
「忙しかった」は、言い訳ではありません。工程の弱点です。
だって、忙しくなると品質が落ちる工程なら、それは工程の設計に問題があるということですよね。人が頑張って耐えている状態を、正常とは呼びません。
問題は「書くかどうか」ではなく、「書き方」だけでした。
同じことを言っているのに、通り方がまるで違う
具体的に並べてみます。
NG|却下されやすい書き方
忙しくて、確認している暇がなかった。
OK|通りやすい書き方
梱包後の数量確認に充てる時間が、工程の中に確保されていなかった。
言っている中身は、ほぼ同じです。でも、この2つはまったく別物として扱われます。
NGのほうは「私の感想」です。主語が私で、忙しさの感じ方は人によって違うので、確かめようがない。だから読んだ人は「言い訳」と受け取ります。そして対策は「時間がなくても確認します」=根性論にしかならない。
OKのほうは「工程の事実」です。主語が工程で、確認に何分必要で、実際に何分取れているかは調べられる。だから対策が「その時間を工程に組み込む」という、明日から直せる話になります。
しかも、OKの書き方は誰も責めていません。あなたも、上司も、会社もです。悪いのは、確認の時間が入っていない工程の組み方だけ。
「忙しかった」を消す必要はなかった。翻訳すればよかったんです。
書き換えの3つのルール
翻訳のやり方は、3つだけです。この3つが、次の文例集の土台になります。
ルール1
主語を「私・作業者」から「工程・設備・検査」に置き換える
「私が」と書きたくなったら、「この工程は」「この設備は」「この検査は」に置き換えられないか考えてみてください。これがいちばん効きます。
ルール2
「した・忘れた」を「できなかった・気づけなかった」に言い換える
「確認を忘れた」は、人の怠慢に聞こえます。「確認しなくても次に進めてしまった」に変えると、"できない構造"の話になる。視点が人から仕組みに移ります。
ルール3
気分の言葉を、確かめられる事実に置き換える
「忙しかった」「焦っていた」「疲れていた」は、確かめようがありません。数値・時刻・有無のある事実に置き換えます。「1人で2工程を同時に見る時間帯で、そのときの手順が決まっていなかった」のように。
止まりワード6つ|そのまま書き写せる書き換え
ここが本題です。1回目のなぜで着地しがちな言葉を6つ選んで、却下されやすい文(NG)と通りやすい文(OK)を並べます。
あなたのなぜ欄にあるのと、そっくりな言葉があるはずです。そのまま書き写して、中身を自分の現場に置き換えてみてください。
どのOK例も、さっきの3ルールを当てただけです。ルールが分かれば、この6つ以外の言葉も自分で変換できます。
原因を自分の内面に求めてしまう系(3つ)
① 確認不足・見落とし・怠っていた
NG|却下されやすい書き方
作業者の確認不足により、数量違いのまま次工程へ流れた。
OK|通りやすい書き方
梱包後の数量を確認する手順が、作業標準の中に工程として入っていなかった。
「確認不足」を原因にすると、対策が「確認を徹底します」でしか終われません。原因の書き方が、対策の上限を先に決めてしまうんですね。
② 不注意・うっかり
NG|却下されやすい書き方
うっかり手順を1つ飛ばしてしまった。
OK|通りやすい書き方
手順を1つ飛ばしても次の工程に進めてしまう作業設計で、「確認しないと進めない」歯止めが無かった。
うっかりは誰にでも起きます。だから「うっかりしないように」は対策になりません。飛ばしても進めてしまう構造に目を向けると、対策が「歯止めをつける」に変わります。
③ 慣れ・思い込み
NG|却下されやすい書き方
作業に慣れて、確認を省いてしまった。
OK|通りやすい書き方
毎回意識しなくても違いに気づける表示や見本(初品確認、限度見本など)が用意されていなかった。
「慣れるな」は無理な相談です。人はどうしても慣れます。慣れても気づける仕組みがあるか、に書き換えます。
外の条件のせいに見えてしまう系(3つ)
こちらは、外のせいにしているように見えて、実は主語がぼやけているだけのパターンです。事実に落とすと通ります。
④ 疲れていた・忙しかった
NG|却下されやすい書き方
繁忙期で焦っていて、ミスをした。
OK|通りやすい書き方
作業が重なったときの手順が決まっておらず、経験と勘で処理する運用になっていた(=忙しさに弱い設計だった)。
さっき詳しく書いたところです。「焦り」は確かめられませんが、「重なったときの手順が無い」は確かめられます。
⑤ 教育不足・不慣れ
NG|却下されやすい書き方
教育が足りなかった/新人で不慣れだった。
OK|通りやすい書き方
作業標準書が整っておらず、誰が担当しても同じ品質になる状態ではなかった。
ひとつ注意です。「教育します」は一見まっとうですが、対策の担い手を"人"に固定してしまいます。人が入れ替わっても効く言葉に変えるほうが通りやすいです。
⑥ 連絡ミス・引き継ぎ漏れ
NG|却下されやすい書き方
報告を忘れた/引き継ぎのミスがあった。
OK|通りやすい書き方
引き継ぎ事項が口頭のみで、記録に残さないと抜ける運用だった。
「気をつけて引き継ぐ」ではなく、「口頭だから抜ける」という運用の話に変えます。
早見表|止まりワードと、書き換えの向き
| 止まりワード | 何に書き換えるか |
| 確認不足・怠っていた | 確認が手順に入っていないという話へ |
| 不注意・うっかり | 飛ばしても進めてしまう構造の話へ |
| 慣れ・思い込み | 慣れても気づける仕組みがあるかの話へ |
| 忙しかった・疲れていた | 重なったときの手順の有無の話へ |
| 教育不足・不慣れ | 誰がやっても同じになる標準の話へ |
| 連絡ミス・引き継ぎ漏れ | 口頭だから抜ける、という運用の話へ |
逆に、やらないほうがいい書き方が2つ
① 同じ階層をぐるぐる回る言葉遊び
「確認しなかった → 注意しなかった → 意識が低かった」は、掘っているように見えて、実は何も分解できていません。
② 人の内面(責任感・意識)で締めること
ここに着地したら、それは原因分析ではなく反省文です。
どこまで掘れば終わりなのか
「主語は変えられた。でも、どこまで掘ればいいの?」
ここ、みんな迷うところだと思います。私も「最終地点まで真に深掘りしろ」と言われて、終わりが分からなくなりました。
その前に。「5回」は、ノルマではありません
まず、肩の力を抜いてほしいことがあります。
なぜなぜ分析といえば「なぜを5回」ですが、この「5回」は、守らないといけない決まりではありません。
出どころは、トヨタ生産方式を築いた大野耐一さんの著書『トヨタ生産方式』(1978年)で、「なぜを五回繰り返すことができるか」という項があります。ただ、これは「ものごとをよく観察して原因を追究しなさい」という現場指導として語られたもので、回数のノルマとして書かれたものではない、と解説されています。
そして、もうひとつ。
品質マネジメントの国際規格であるISO 9001も、「なぜなぜ分析をやれ」とも「5回掘れ」とも言っていません。
ISO 9001の10.2「不適合及び是正処置」が求めているのは、大まかにいえばこういう流れです(※規格の条文そのものではなく、項目の趣旨です)。
ISO 9001 10.2 が求めていること(趣旨)
10.2.1 b) 起きたことの中身を確かめて分析し、なぜ起きたのかをはっきりさせること/似たことが他にも起きていないか、これから起こり得ないかを確かめること
10.2.1 c) 必要な手を打つこと
10.2.1 d) 打った手が効いたかどうかを、あとから確かめること
10.2.2 何が起きて、何をして、その結果どうだったかを記録に残すこと
見てのとおり、どの手法を使えとは書かれていません。なぜなぜ分析は、あくまで「原因を明確にする」ための道具のひとつです。
つまり、回数で自分を追い込む必要はまったくないということです。3回で着けば3回、7回かかれば7回でいいと思います。
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工場の検査記録は何のために書くのか|意味が分かると漏れが減る
チェックシートが、作業を増やすだけの仕事に見える。何のために書いているのかが分かると、書き方も、見るべき場所も変わります。
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終わりの合図は、回数ではなく「対策のレベル」
では何を基準にするか。「人に頼らなくても防げる仕組み」に着いたら、そこで終わりでいいと思います。
対策には、だいたい3つのレベルがあります。
対策の3つのレベル
- レベル1:教育・注意喚起(人の意識に頼る)
- レベル2:標準書・チェックシートの変更(ルールに頼る)
- レベル3:歯止め・治具・設備・工程の組み替え(人に頼らない仕組み)
レベル3に着いたら、掘り止めです。
ここが大事なんですが、レベル3に着いた後で「なぜその仕組みを作らなかったのか」とさらに掘ると、「私が気づいて提案すべきだった=私の意識が低い」という反省文にきれいに戻ってしまいます。
一周して元の場所に着地する。これが、なぜなぜが苦しくなる正体のひとつだと思っています。
仕組みに着いたら、掘るのをやめる。これは勇気がいりますが、大事な合図です。
書けたら、下から動詞だけ逆に読む
書き上げたら、提出前にひとつだけやってみてください。
各行の動詞だけを、いちばん下から上へ、「だから」でつないで読むんです。
やってみるとこうなる
確認の時間が工程に無い、だから数量を数えずに閉じる、だから違いに気づけない、だからそのまま出荷される
これが「だから」で素直につながれば、論理は通っています。途中で「ん?」と引っかかったら、そこが飛躍しているところです。たいてい、一段抜けています。
もうひとつ、「後付け」の見分け方
分析しなくても最初から同じ結論が出てくるなら、それは後付けです。
「どうせ確認不足だろう」と結論を決めてから、逆算でなぜを埋めていないか。なぜなぜをやる前と後で結論が同じなら、やった意味がなくなってしまいます。
一度、疑ってみてください。
それでも「自分が悪い」に戻ってしまうとき
ここまで書き方の話をしてきましたが、正直に言うと、気持ちの部分は別だと思っています。
私自身、今でもミスをしたときは、なぜなぜを正直に繰り返して、自分の中で何が起きていたのかまで見に行きます。「なぜあのとき、確認しようと思わなかったんだろう」というところまで、考えてしまう。
それは、意味のないことではないと思っています。自分で納得できないと次に進めないタイプの人もいますし、私もそっちです。
ただ、ひとつだけ分けて考えるようになりました。
ここは分けていいと思います
自分が納得するために掘るのと、報告書に書くのは、別物でいい。
掘るのは自分のため、書くのは仕組みのため。
自分の中を掘るのは、自分のためです。やってもいい。
でもそれをそのまま報告書に書くと、差し戻されます。意地悪だからじゃなくて、人の内面は、誰にも改善できないからです。「意識を高めます」と書かれた報告書を受け取っても、受け取った側は何もできないんですよね。
だから報告書に載せるのは、その気づきを工程の言葉に翻訳したあとのもの。
そう分けてから、私は少し楽になりました。
つらいときは、ここへ
ちなみに、毎朝のKY活動のほうが「形だけ」になっているという方。あれは新しい危険を見つける場ではなく、今日・この作業・自分に絞る場なので、なぜなぜとは役割が違います。別に1本書きました。
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KY活動が形だけになっているとき|KYは「新しい危険を見つける場」ではありません
毎朝のKY活動が形だけになっていて、書くことも毎回同じ。それはあなたの意識が低いからではありません。KYはそもそも「新しい危険を見つける場」ではないからです。
続きを見る
明日の朝、最初に直す一文
長くなったので、1つにまとめます。
明日、なぜ欄を前にしたら、この順番でやってみてください。
なぜ欄を直す手順
- いま書いてある1回目のなぜの、主語を確認する
- 主語が「私・作業者」なら、「工程・設備・検査」に置き換える
- 「した・忘れた」を「できなかった・気づけなかった」に言い換える
- 「忙しい・慣れ」など気分の言葉を、数値・時刻・有無の事実に置き換える
- 人に頼らない仕組み(レベル3)に着いたら、掘り止め
- 書けたら、下から動詞だけ逆に読んでつながりを確認する
全部やらなくてもいいです。まずは1と2だけ。主語を変えるだけで、その先に出てくる言葉が変わります。
私がいちばん言いたいのは、これです。
なぜなぜ分析の考え方は、本来なら最初に教わるものです。
私は、そもそもそれが何なのかも知らないまま用紙を渡されて、「深掘りしろ」とだけ言われていました。それで書けるわけがなかったんですよね。だから自分で調べました。この記事は、そのときに誰かに渡してほしかったものを書いたつもりです。


品質の考え方を、体系で学びたくなったら
ここまで読んで、「そもそも品質管理の考え方を、ちゃんと知らないまま書かされていた」と感じた人もいるかもしれません。
私もそうでした。現場にいると、目の前の作業は覚えても、その背景にある考え方を教わる機会はほとんどないんですよね。
もし体系的に学んでみたいなら、QC検定(品質管理検定)が入口として分かりやすいです。この記事で出てきた原因の掘り下げ方や、再発防止の考え方は、まさにこの検定で扱う内容です。
※資格を取れば必ず評価が上がる、という話ではありません。ただ、書かされている書類の意味が分かると、書くのがだいぶ楽になるのは確かだと思います。
ちなみに、そもそも「書くネタが無い」ところで止まっている場合は、別の記事にまとめました。ヒヤリハットの話ですが、探し方は同じです。
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ヒヤリハットのネタがないとき|ヒヤリとしていなくても書けます
毎月出せと言われても、毎月ヒヤリとするわけじゃない。国の通達は、ヒヤリとしていない出来事も同じ列に並べていました。
続きを見る
よくある質問
「忙しかった」と書いたら、上司に言い訳だと言われました。
「忙しかった」という言葉のままだと、そう受け取られやすいです。確認に必要な時間が工程に入っていない、というように、確かめられる事実に置き換えてみてください。同じ内容でも、受け取られ方が変わると思います。
なぜは何回まで掘ればいいですか。
回数の決まりはありません。「人に頼らない仕組み」に着いたら終わりでいいと思います。それ以上掘ると、自分の意識の話に戻ってしまいがちです。
発生原因と流出原因は、どう分ければいいですか。
ざっくり言うと、「なぜ作ってしまったか」が発生原因、「なぜ出荷前に気づけなかったか」が流出原因です。これは報告書全体の書き方の話なので、姉妹記事(是正処置報告書が差し戻される本当の理由)にまとめました。
自分のせいだと本当に思っています。それでも工程のせいにしていいんでしょうか。
「せいにする」ではなく、「次に同じことが起きない形にする」と考えてみてください。あなたが気をつける対策は、あなたが辞めたら消えます。工程を直す対策は、次の人も守ります。責任逃れではなく、後任のための書き方です。
ISO 9001に「なぜなぜ分析をやれ」と書いてありますか。
書かれていません。10.2 が求めているのは「原因を明確にすること」までで、手法は指定されていません。なぜなぜ分析は選択肢のひとつです。
まとめ:まず、1回目のなぜの主語を見る
この記事のまとめ
- なぜなぜが止まるのは、掘り方が浅いからではなく、「なぜ」の主語が「私」のままだから
- 「忙しくて確認する暇がなかった」は書いていい。ただし「工程に確認の時間が入っていなかった」という事実に翻訳する
- 止まりワード6つ(確認不足/不注意/慣れ/忙しい/教育不足/連絡ミス)は、3つのルールで書き換えられる
- 「5回」はノルマではない。ISO 9001も手法や回数までは求めていない。人に頼らない仕組みに着いたら掘り止め
- 書けたら、下から動詞だけ逆に読む
- 掘るのは自分のため、書くのは仕組みのため。ここは分けていい
明日、なぜ欄を前にしたら、まず1行目の主語だけ見てみてください。そこが「私」になっていたら、「この工程は」に置き換える。
それだけで、次に出てくる言葉が変わると思います。
この記事の出典
・ISO 9001:2015「10.2 不適合及び是正処置」(項目の趣旨。※規格本文は著作物のため引用していません)
・大野耐一『トヨタ生産方式』ダイヤモンド社、1978年(「なぜを五回繰り返すことができるか」の項)
・厚生労働省「こころの耳」働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト